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山家集の研究 植物の歌
柴の歌
「 柴 」
1 21 柴の庵によるよる梅の匂ひ来てやさしき方もあるすまひかな
2 22 山ふかみ霞こめたる柴の庵にこととふものは谷のうぐひす
3 22 雨しのぐ身延の郷のかき柴に巣立はじむる鶯のこゑ
4 82 柴の庵はすみうきこともあらましをともなふ月の影なかりせば
5 91 宿かこふははその柴の色をさへしたひて染むる初時雨かな
6 93 かきこめし裾野の薄霜がれてさびしさまさる柴の庵かな
7 94 川わたにおのおのつくるふし柴をひとつにくさるあさ氷かな
8 97 霰にぞものめかしくはきこえける枯れたるならの柴の落葉は
9 97 降る雪にしおりし柴も埋もれて思はぬ山に冬ごもりする
10 99 うの花の心地こそすれ山ざとの垣ねの柴をうづむ白雪
11 103 柴かこふいほりのうちは旅だちてすとほる風もとまらざりなり
12 103 身にしみし荻の音にはかはれども柴吹く風もあはれなりけり
13 104 あたらしき柴のあみ戸をたちかへて年のあくるを待ちわたるかな
14 109 柴の庵のしばし都へかへらじと思はむだにもあはれなるべし
15 128 山高み岩ねをしむる柴の戸にしばしもさらば世をのがればや
16 128 都近き小野大原を思ひ出づる柴の煙のあはれなるかな
17 132 風あらき柴のいほりは常よりも寝覚めぞものはかなしかりける
18 151 ときは山しひの下柴かり捨てむかくれて思ふかひのなきかと
19 165 柴の庵ときくはいやしき名なれども世に好もしきすまひなりけり
20 176 立ちよりて柴の烟のあはれさをいかが思ひし冬の山里
21 176 山里に心はふかくすみながら柴の煙の立ち歸りにし(ある人牟
22 189 いづくにもすまれずばただ住まであらむ柴のいほりのしばしなる世に
23 229 くらぶ山かこふしば屋のうちまでに心をさめぬところやはある
24 243 川わたにおのおのつくるふし柴をひとつにくさる朝氷かな
25 250 さみだれて沼田のあぜにせしかきは水もせかれぬしがらみの柴
26 283 あばれゆく柴のふたては山里の心すむべきすまひなりけり
2004年6月20日入力