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            山家集の研究

   植物の歌 

   「女郎花・をみなへし」

 1  59   
をみなへし分けつる袖と思はばやおなじ露にもぬると知れれば

 2  59   
女郎花色めく野邊にふれはらふ袂に露やこぼれかかると

 3  59   池の面にかげをさやかにうつしもて水かがみ見る
女郎花かな

 4  59   たぐひなき花のすがたを
女郎花池のかがみにうつしてぞ見る

 5  59   
をみなへし池のさ波に枝ひぢて物思ふ袖のぬるるがほなる

 6  59   花の枝に露のしら玉ぬきかけて折る袖ぬらす
女郎花かな

 7  59   折らぬより袖ぞぬれける
女郎花露むすぼれて立てるけしきに

 8  60   けさみれば露のすがるに折れふして起きもあがらぬ
女郎花かな

 9  60   大方の野邊の露にはしをるれど我が涙なき
をみなへしかな

10  61   穂に出でてしののを薄まねく野にたはれてたてる
女郎花かな

11  73   月の色を花にかさねて
女郎花うは裳のしたに露をかけたる

12  73   宵のまの露にしをれて
をみなへし有明の月の影にたはるる 

13  74   庭さゆる月なりけりな
をみなへし霜にあひぬる花と見たれば

14  92   玉かけし花のかつらもおとろへて霜をいただく
女郎花かな

15 276   秋きぬと風にいはせてくちなしの色そめ初むる
女郎花かな