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山家集の研究
植物の歌
萩
4 58 今日ぞ知るその江にあらふ唐錦萩さく野邊にありけるものを
5 58 咲きそはん所の野邊にあらばやは萩より外の花も見るべく
6 58 分けて出づる庭しもやがて野邊なれば萩のさかりをわが物にみる
7 58 いはれ野の萩が絶間のひまひまにこの手がしはの花咲きにけり
8 58 衣手にうつりし花の色なれや袖ほころぶる萩が花ずり
9 58 亂れ咲く野邊の萩原分け暮れて露にも袖を染めてけるかな
10 59 末は吹く風は野もせにわたるともあらくは分けじ萩の下露
11 60 折らで行く袖にも露ぞこぼれける萩の葉しげき野邊の細道
12 60 ゆふ露をはらへば袖に玉消えて道分けかぬる小野の萩原
13 62 萩の葉を吹き過ぎて行く風の音に心みだるる秋の夕ぐれ
14 65 こ萩咲く山田のくろの虫の音に庵もる人や袖ぬらすらむ
15 68 しだり咲く萩のふる枝に風かけてすがひすがひにを鹿なくなり
16 68 萩が枝の露ためず吹く秋風にをじか鳴くなり宮城野の原
18 74 露ながらこぼさで折らむ月影にこ萩がえだの松虫のこゑ
19 93 分けかねし袖に露をばとめ置きて霜に朽ちぬる真野の萩原
20 141 露おきし庭の小萩も枯れにけりいづち都に秋とまるらむ
21 147 折りてただしをればよしや我が袖も萩の下枝の露によそへて
23 238 萩が葉につゆのたまもる夕立ははなまつ秋のまうけなりけり
24 238 秋の野をわくともちらぬ露なれなたまさく萩のえだを折らまし
25 276 萩が枝の露にこころのむすぼれて袖にうらある秋の夕ぐれ
2004年6月30日入力。