もどる
         
            山家集の研究

   植物の歌 (薄・尾花)

   「薄・すすき」

 1  52  みまくさに原の
小薄しがふとてふしどあせぬとしか思ふらむ

 2  60  
糸すすきぬはれて鹿の伏す野べにほころびやすき藤袴かな

 3  60  穂に出づるみ山が裙のむら
まがきにこめてかこふ秋霧

 4  61  
花すすき心あてにぞ分けて行くほの見し道のあとしなければ

 5  61  籬あれて
ならねどかるかやも繁き野邊とはなりけるものを

 6  61  穂に出でてしののを
まねく野にたはれてたてる女郎花かな

 7  74  をしむ夜の月にならひて有明のいらぬをまねく
花薄かな

 8  74  
花すすき月の光にまがはまし深きますほの色にそめずば

 9  93  かきこめし裾野の
霜がれてさびしさまさる柴の庵かな

10 129  朽ちもせぬ其名ばかりをとどめ置きて枯野の
かたみにぞ見る 

11 196  見ればげに心もそれになりぞ行く枯野の
有明の月

   「尾花」 (薄に穂が出たもの。薄の穂。)

 1  64  あきの野の
尾花が袖にまねかせていかなる人をまつ虫の聲

 2  97  枯れはつるかやがうは葉に降る雪は更に
尾花の心地こそすれ 

 3 275  おしなべてなびく
尾花の穂なりけり月のいでつる峯の白雲

  ○参考。 「薄=うす」(ススキという植物とは無関係)

  35  よしの山高嶺の櫻さきそめばかからんものか花の薄雲
 132  たぐひなき思ひいではの櫻かな薄紅の花のにほひは  

                     2004年6月26日入力