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         山家集の研究   (佐佐木信綱校訂・岩波文庫、山家集から)

    ほととぎすの歌  数字はページ( )内は回数


     郭公 時鳥 ほととぎす 子規 呼子鳥 よぶこ鳥 
     杜鵑 杜宇 死出の田長 蜀魂 ぬえ
               
               「ぬえ」 については確信がありません。
            
 郭公
 「 歌 」
 1 41 
     嬉しとも思ひぞわかぬ
郭公春聞きくことの習ひなければ
 2 43  
     
郭公きかで明けぬる夏の夜の浦島の子はまことなりけり
 3 44 
     まつ人の心を知らば
郭公たのもしくてや夜をあかさまし
 4 44 
     
郭公卯月のいみにゐこもるを思ひ知りても來鳴くなるかな
 5 44 
     里なるるたそがれどきの
郭公きかずがほにて又なのらせむ
 6 44 
     
郭公ききにとてしもこもらねど初瀬の山はたよりありり
 7 45 
     まつことは初音までかと思ひしに聞きふるされぬ
郭公かな
 8 45
     所から聞きがたきかと
郭公さとをかへても待たむとぞ思ふ
 9 46
     さみだれの晴間尋ねて
郭公雲井につたふ聲聞ゆなり
10 46 
     
郭公なべて聞くには似ざりけり深き山べのあかつきの聲
11 46
     
郭公月のかたぶく山の端に出でつるこゑのかへりいるかな
12 46
     ならべける心はわれか
郭公君まちえたる宵のまくらに
13 46 
     世のうきをおもひし知ればやすきねをあまりこめたる
郭公かな
14 47
     
郭公いかなるゆゑの契りにてかかる聲ある鳥となるらむ
15 47 
     
郭公都へゆかばことづてむ越えくらしたる山のあわれを
16 137
     此世にてかたらひおかむ
郭公しでの山路のしるべともなれ(待賢門院堀川)
  
 「 詞書 」  
 41  春のうちに郭公をきくといふことを              
 43  雨のうちに郭公を待つといふことをよみける
 43  郭公を待ちて明けぬといふことを
 44  無言なりけるころ、郭公の初聲を聞きて
 45  百首の歌の中に郭公十首
 46  郭公
 236  郭公
 237  月前郭公
 259  郭公を
 263  郭公
 263  雨中郭公
 263  五月待郭公といふことを

 時鳥
 「 歌 」
17  43 
      わが宿に花たちばなをうゑてこそ山
時鳥待つべかりけり
18  43
      尋ぬれば聞きがたきかと
時鳥こよひばかりはまちこころみむ
19  43
      
時鳥まつ心のみつくさせて聲をば惜しむ五月なりけり
20  43
      
時鳥なかで明けぬと告げがほにまたれぬ鳥のねぞ聞こゆなり
21  44
      
時鳥人にかたらぬ折にしも初音聞くこそかひなかりけれ
22  44
      五月雨の晴間もみえぬ雲路より山
時鳥なきて過ぐなり
23  44
      
時鳥きく折にこそ夏山の青葉は花におとらざりけれ
24  45 
      かたらひしその夜の聲は
時鳥いかなる世にも忘れんものか
25  45
      
時鳥きかぬものゆゑまよはまし花を尋ねぬ山路なりせば
26  45
      聞きおくる心を具して
時鳥たかまの山の嶺こゆぬなり
27  45
      
時鳥そののちこえむ山路にもかたらふ聲はかはらざらなむ
28  45
      なかん聲や散りぬる花の名残なるやがて待たるる
時鳥かな
29  45
      春くれてこゑに花咲く
時鳥尋ぬることも待つもかはらぬ
30  45
      きかで待つ人思ひしれ
時鳥ききても人は猶ぞまつめる
31  46
      初聲を聞きての後は
時鳥待つも心のたのもしきかな
32  46 
      
時鳥ふかき山邊にすむかひは梢につづく聲を聞くなり
33  46
      夜の床をなきうかされむ
時鳥物思ふ袖をとひにきたらば
34  46
      山里の人もこずゑの松がうれにあわれにきゐる
時鳥かな
35  46
      うき身知りて我とは待たじ
時鳥橘にほふとなりたのみて
36  47
      うき世おもふわれかはあやな
時鳥あわれもこもる忍びねの聲
37  47
      
時鳥ふかき嶺より出でにけり外山のすそに聲のおちくる
38  47
      
時鳥なごりあらせて歸りしか聞き捨つるにも成りにけるかな
39  137
      
時鳥なくなくこそは語らはめ死出の山路に君しかからば
40  144
      さらぬだに歸りやられぬしののめにそへてかたらふ
時鳥かな
41  259
      我ぞまづ初音きかまし
時鳥まつこころをも思ひしられば
42  259
      たちばなのさかり知らなむ
時鳥ちりなむのちに聲はかるとも
43  263
      たちばなのにほふ梢にさみだれて山
時鳥こゑかをるなり
44  273 
      つくづくとものおもひおれば
時鳥こころにあまる聲きこゆなり
45  274
      
時鳥こゑのさかりになりにけりたづねぬ人にさかりつぐらし

 「 詞書 」
 43  時鳥
 44  雨中時鳥
 44  夕暮時鳥といふことを
 44  山寺の時鳥といふことを人々よみけるに
 44  時鳥を
 45  時鳥の歌五首よみけるに
 47  五月の晦日に、山里にまかりて立ちかへりにけるを、時鳥も
      すげなく聞き捨てて歸りしことなど、人の申し遣しける返ごとに
 144 後朝時鳥
 263 早苗をとりて時鳥を聞くといふことを
 273 時鳥


 ほととぎす  
 「 歌 」
46   43
       
ほととぎすしのぶ卯月も過ぎにしを猶聲惜しむ五月雨の空
47   45
       
ほととぎすいかばかりなる契りにて心つくさで人の聞くらむ
48   45
       
ほととぎす花橘はにほふとも身をうの花の垣根忘るな
49   46
       聞かずともここをせにせむ
ほととぎす山田の原の杉の村立
50   46
       
ほととぎす花橘になりにけり梅にかをりし鶯のこゑ
51   47
       鶯の古巣より立つ
ほととぎす藍よりもこき聲の色かな
52   132
       奥に猶人みぬ花の散らぬあれや尋ねを入らむ山
ほととぎす
53   237 
       あやめふく軒ににほへる橘に
ほととぎす鳴くさみだれの空
54   237
       
ほととぎす曇りわたれるひさかたの五月のそらに聲のさやけさ
55   237
       むま玉のよる鳴く鳥はなきものをまたたぐひなき山
ほととぎす
56   237
       よる鳴くに思ひ知られぬ
ほととぎすかたらひてけり葛城の~
57   237
       待つはなほたのみありけり
ほととぎす聞くともなしにあくるしののめ
58   237
       鶯の古巣よりたつ
ほととぎす藍よりもこきこゑのいろかな
59   237
        ふゆ聞くはいかにぞいひて
ほととぎす忌む折の名か死出の田長は
60   237
       こゑたてぬ身をうの花のしのびねはあわれぞふかき山
ほととぎす
61   237
       あわれこもる思ひをかこふ垣根をばすぎてかたらへ山
ほととぎす
62   237
       わがおもふ妹がりゆきて
ほととぎす寝覺のそでのあわれつたへよ
63   237
       つくづくと
ほととぎすもやものを思ふ鳴くねにはれぬ五月雨の空
64   237
       さみだれの雲かさなれる空はれて山
ほととぎす月になくなり
65   250
       卯の花を垣根に植ゑてたちばなの花まつものを山
ほととぎす
66   258
       
ほととぎす死出の山路へかへりゆきてわが越えゆかむ友になるらむ
67   258
       花散りぬやがてたづねむ
ほととぎす春をかぎらじみ吉野の山
68   260
       よそに聞くはおぼつかなきに
ほととぎすわが軒にさく橘に鳴け
69   263
       聞かずともここをせにせむ
ほととぎす山田の原の杉のむら立
70   263
       あやめ葺く軒ににほえるたちばなに來て聲ぐせよ山
ほととぎす
71   264
       
ほととぎす聲に植女のはやされて山田のさなへたゆまでぞとる
72   273
       
ほととぎすなきわたるなる波の上にこゑたたみおく志賀の浦風
73   273
       
ほととぎす谷のまにまに音づれてあわれに見ゆる峯つづきかな
74   273 
       人きかぬ深き山べの
ほととぎす鳴く音もいかにさびしかるらむ

 「 詞書 」
 258  ほととぎすの鳴きけるを聞きて
 263  夢にほととぎす聽くといふことを

  子規
   「 歌 」 
75  45
      大井河をぐらの山の
子規ゐせぎに聲のとまらましかば
 「 詞書 」
 44  不尋聞子規といふことを、賀茂社にて人々よみけるに

 よぶこ鳥・呼子鳥 
  「 歌 」 
76  24
       山ざとに誰を又こは
よぶこ鳥ひとりのみこそ住まむと思ふに
77  280
       駒なづむ木曾のかけ路の
呼子鳥誰ともわかぬこゑきこゆなり
 「 詞書 」
 24  山家呼子鳥

 杜鵑  
  「 歌 」
78   263
        誰がかたに心ざすらむ
杜鵑さかひの松のうれに啼くなり
79   263
        待つやどに來つつかたらへ
杜鵑身をうのはなの垣根きらはで
80   263
        
杜鵑さつきの雨をわづらひて尾上のくきの杉に鳴くなり
 「 詞書 」
 263 隣をあらそひて杜鵑を聞くといふことを

 杜宇
81   273
        待ちかねて寝たらばいかに憂からましやま
杜宇夜を残しけり

 蜀魂
82   44
        
蜀魂おもひもわかぬ一聲を聞きつといかが人にかたらむ

 死出の田長
83   237 
        ふゆ聞くはいかにぞいひてほととぎす忌む折の名か
死出の田長

 ぬえ
84   192 
        さらぬだに世のはかなきを思ふ身に
ぬえ鳴き渡る明けぼのの空
            
                    以上

■ 入力   2001年12月18日 
■ 入力者  阿部和雄
■ 校正   未校正

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