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  地名の歌 【播磨】


【明石】 兵庫県南部にある都市。明石海峡に臨む。源氏物語でも出てくる地名。

   72   なべてなき所の名をや惜しむらむ明石はわきて月のさやけき
                                        (岩波・集成・全書・注解)

   81   月さゆる明石のせとに風吹けば氷の上にたたむしら波
                                        (岩波・集成・全書・注解)

   84   月を見て明石の浦を出る舟は波のよるとや思はざるらむ
                                        (岩波・集成・全書・注解)

  247   夜もすがら明石の浦のなみのうへにかげたたたみおく秋の夜の月
                                        (岩波・全書・注解)

   84   伊勢嶋や月の光のさひが浦明石には似ぬかげぞすみける
                                        (岩波・集成・全書・注解)

    明石に人を待ちて日數へにけるに 「新潮版は(津の国やまもと)とある」

  108  何となく都のかたと聞く空はむつまじくてぞながめられぬる
                                        (岩波・集成・全書・注解)

   *   たたへおく心の水にすむ月を明石の波にうつしてぞ見る
                                        (全書・注解)   

【播磨】 播磨の国のこと。山陽道にあり摂津の国の西。

   78   はりま潟のみ沖に漕ぎ出でてあたり思はぬ月をながめむ
                                        (岩波・集成・全書・注解) 

  154   播磨路や心のすまに關すゑていかで我が身の戀をとどめむ
                                        (岩波・集成・全書・注解)

     播磨書寫へまゐるとて、野中の清水を見けること、一むかしになりにける、
     年へて後修行すとて通りけるに、同じさまにてかはらざりければ

  109   昔見し野中の清水かはらねば我が影をもや思ひ出づらむ
                                        (岩波・集成・全書・注解)

【高砂】 兵庫県南部、加古川河口にある都市。

  274   高砂のをのへをゆけど人もあはず山ほととぎす里なれにけり
                                        (岩波・全書・注解) 

  275   浪にしく月のひかりを高砂の尾の上のみねのそらよりぞ見る
                                        (岩波・全書・注解)

【飾磨】 姫路市南部の地名。

  156   なき名こそしかまの市に立ちにけれまだあひ初めぬ戀するものを
                                        (岩波・集成・全書・注解)

【つたのほそ江】 姫路市の船場川河口にある。万葉集でも読まれている。播磨風土記に記載。

  250   流れやらでつたのほそ江にまく水は舟をぞむやうさみだれのころ
                                         (岩波・全書・注解)

  「明石・さひが浦・播磨・灘・すま・書写・高砂・しかま・つたのほそ江」

 2005年1月25日入力

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参考文献
        岩波=岩波文庫山家集(佐佐木信綱氏校訂
        集成=新潮日本古典集成山家集(後藤重郎氏校註)
        全書=日本古典全書山家集(伊藤嘉夫氏校註)
        注解=西行山家集全注解(渡部保氏著)