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  地名の歌   【河内】  【和泉】

【河内】 国名。畿内の一国。淀川の内という意味がある。
                     (番号は岩波文庫のページ番号)

【天の川】 河内の国北河内郡にある地名。

  71  天の川名にながれたるかひありて今宵の月はことにすみけり
                                       「岩波・集成・全書・注解」

  82  みをよどむ天の川岸波かけて月をば見るやさくさみの神
                                       「岩波・集成・全書・注解」

    天王寺へまゐりけるに、片野など申すわたり過ぎて、見はるかされたる所の
    侍りけるを問ひければ、天の川と申すを聞きて、宿からむといひけむこと
    思ひ出だされてよみける

  107  あくがれしあまのがはらと聞くからにむかしの波の袖にかかれる
                                       「岩波・全書・注解」

   ( 以下の歌の「天の川」は固有名詞ではなくて、天体の天の川を指しています。 )

   56   天の河けふの七日は長き世のためしにもひくいみもしつべし
 
   56   ふねよする天の川べの夕ぐれは凉しき風や吹きわたるらむ

   56   棚機のながき思ひもくるしきにこの瀬をかぎれ天の川なみ
  
  136   苗代にせきくだされし天の川とむるも神の心なるべし

  230   おなじくは嬉しからまし天の川のりをたづねしうき木なりせば 111

  283   天の川流れてくだる雨をうけて玉のあみはるささがにのいと


【よこ野】 横野。河内の国、中河内の横野説、尾張の国中島郡の横野説があります。

   40  菫さくよこ野のつばな生ひぬれば思ひ思ひに人かよふなり
                                        「岩波・集成・全書・注解」

【弘川】 河内の国、南河内。西行法師は1190年2月16日、弘川寺にて入寂。
 

   *  訪ね来つる宿は木の葉に埋もれて煙を立つる弘川の里
                                       (西行) 「近年発見歌」

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【和泉の国】

高石】 現在の高石市。大阪湾に面していて、和泉の国の北部。
      ほかに愛知県渥美郡高師町、遠江に高師の山が詠まれている。

  234  こぎいでて高石の山を見わたせばまだ一むらもさかぬ白雲
                                        「岩波・全書・注解」

  276  朝風にみなとをいづるとも舟は高師の山のもみぢなりけり
                                        「岩波・全書・注解」
【ふけゐ】 和泉の国、泉南郡の海岸。

   95  千鳥なくふけゐのかたを見わたせば月かげさびし難波津のうら
                                        「岩波・集成・全書・注解」

【しのだの森】 和泉の国の名所。阿倍保名の「葛の葉」伝説で有名。

  150  秋の月しのだの森の千枝よりもしげきなげきや隈になるらむ
                                        「岩波・集成・全書・注解」

  152  もの思へばちぢに心ぞくだけぬるしのだの森の枝ならねども
                                        「岩波・集成・全書・注解」

   *   時鳥信太の森の一こゑは夜だにあけばとおもはれぬかな
                                        「全書・注解」


  「天の川・片野・よこ野・弘川・高石・高師・ふけゐ・信太の森・天王寺」

2005年1月26日入力
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参考文献
        岩波=岩波文庫山家集(佐佐木信綱氏校訂
        集成=新潮日本古典集成山家集(後藤重郎氏校註)
        全書=日本古典全書山家集(伊藤嘉夫氏校註)
        注解=西行山家集全注解(渡部保氏著)
        西行=吉川弘文館(目崎徳衛氏著)