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山家集索引
あ〜お | か〜こ | さ〜そ | た〜と | な〜の | は〜ほ | ま〜も | や〜わ |
01 初めの数字は岩波文庫のページ数字。
02 次の漢字は部立て。(離)は離別歌、(羇)は羇旅歌、(哀)は哀傷歌、
(釈)は釈教歌、(神)は神祇歌、(聞)は聞書集、(残)は残集、(補)
は補遺。
03 他の集名は他出文献名。(上人)は西行上人集、(心中)は山家心中集、
(宮河)は宮河歌合、(御裳濯河)は御裳濯河歌合を表しています。
04 部立ての次の数字は新潮日本古典集成山家集の歌番号。
05 (欠)は岩波文庫山家集にあって新潮日本古典集成山家集にない歌。またはその逆。
06 (○)は岩波文庫山家集の校訂者の佐佐木信綱博士が他誌から補入した歌。
07 (聞)と(残)の直後の数字は聞書集・残集の歌番号。
08 重出歌もありますが、それには▲マークを付けます。
09 古字は改めたほうが良いと思われるものは改めています。
10 歌合は自歌合の「宮河」と「御裳濯河」のみ。
11 物語の後の(広)は広本系物語のことです。
12 赤字歌は他者詠歌。桃色字歌は新潮版及び岩波文庫版に山家集にない歌。
以上 2008年08月22日
「あ」
39 春 158 上人 心中
青葉さへみれば心のとまるかな散りにし花の名残と思へば
松屋本山家集
青柳のいとほしきけのしたる哉結ぼほれたるうぐひすの声
107 羇 411
あかずのみ都にて見し影よりも旅こそ月はあはれなりけれ
272 補 上人
あかつきと思はまほしき声なれや花にくれぬるいりあひの鐘
170 雑 938 上人 心中 千載 御裳濯河
暁の嵐にたぐふ鐘の音を心の底にこたえてぞきく
199 雑 1396 夫木
秋風にすずきつり船はしるめりうのひとはしの名残したひて
63 秋 446 上人 心中 続拾遺 夫木
あき風に穗ずゑ波よる苅萱の下葉に虫の声乱るなり
85 秋 1042
秋風のことに身にしむ今宵かな月さへすめる宿のけしきに
64 秋 448 夫木
あき風のふけ行く野辺の虫の音のはしたなきまでぬるる袖かな
79 秋 339 上人 心中
秋風や天つ雲井をはらふらむ更け行くままに月のさやけき
276 補 宮河
秋きぬと風にいはせてくちなしの色そめ初むる女郎花かな
89 秋 489
秋暮るる月なみわかぬ山がつの心うらやむ今日の夕暮
90 冬 ○ 新古今 玄玉 宮河 物語
秋しのや外山の里や時雨るらむ生駒のたけに雲のかかれる
95 冬 ○ 上人
秋すぎて庭のよもぎの末見れば月も昔になるここちする
56 秋 256 夫木
秋立つと思ふに空もただならでわれて光を分けむ三日月
55 秋 255 上人追加 物語
秋たつと人は告げねど知られけり山のすそ野の風のけしきに
275 補 雲葉 御裳濯河
秋になればくもゐのかげのさかゆるは月の桂に枝やさすらむ
88 秋 1439
秋の色は風ぞ野もせにしきりたす時雨は音を袂にぞきく
193 雑 767
秋の色は枯野ながらもあるものを世のはかなさやあさぢふの露
70 秋 384
秋の月いさよふ山の端のみかは雲の絶間に待たれやはせぬ
150 恋 651
秋の月しのだの森の千枝よりもしげきなげきや隈になるらむ
150 恋 641 雲葉 秋風
秋の月もの思ふ人のためとてや影に哀をそへて出づらむ
64 秋 453
あきの野の尾花が袖にまねかせていかなる人をまつ虫の声
227 聞7 夫木
秋の野のくさの葉ごとにおく露をあつめば蓮の池たたふべし
238 聞93
秋の野をわくともちらぬ露なれなたまさく萩のえだを折らまし
64 秋 452
あきの夜に声も惜しまず鳴く虫を露まどろまず聞きあかすかな
78 秋 306 上人 心中
秋の夜の空に出づてふ名のみして影ほのかなる夕月夜かな
148 恋 622
秋の夜の月や涙をかこつらむ雲なき影をもてやつすとて
79 秋 317 上人 心中
秋の夜の月を雪かとながむれば露も霰のここちこそすれ
238 聞89 御裳濯 夫木
秋の夜の月の光のかげふけてすそ野の原にをじか鳴くなり
64 秋 451 上人追加 雲葉
秋の夜を独や鳴きてあかさましともなふ虫の声なかりせば
140 羇 1122
秋は暮れ君は都へ帰りなばあはれなるべき旅のそらかな
71 秋 334 上人 心中 玄玉 御裳濯河 御裳濯 物語
秋はただこよひ一夜の名なりけりおなじ雲井に月はすめども
155 恋 707
秋ふかき野べの草葉にくらべばやもの思ふ頃の袖の白露
86 秋 468
秋ふかみならぶ花なき菊なれば所を霜のおけとこそ思へ
64 秋 457 上人追加 雲葉
秋深みよわるは虫の声のみか聞く我とてもたのみやはある
30 春 67 上人 心中 新後撰
あくがるる心はさても山櫻ちりなむ後や身にかへるべき
107 羇 新潮欠1096a 御裳濯河 雲葉
あくがれしあまのがはらと聞くからにむかしの波の袖にかかれる
135 羇 1084
あくがれし心を道のしるべにて雲にともなふ身とぞ成りぬる
78 秋 315
あくるまで宵より空に雲なくて又こそかかる月みざりけれ
127 羇 1387
あこやとるゐがひのからを積み置きて宝の跡を見するなりけり
276 補 夫木
朝風にみなとをいづるとも舟は高師の山のもみぢなりけり
173 雑 1012
あさかへるかりゐうなこのむら鳥ははらのをかやに声やしぬらむ
108 羇 863
あさからぬ契の程ぞくまれぬる亀井の水に影うつしつつ
214 釈 914 上人 心中
浅く出でし心の水やたたふらむすみ行くままにふかくなるかな
148 恋 606 夫木
朝ごとに声ををさむる風の音はよをへてかるる人の心か
78 秋 316
浅茅はら葉ずゑの露の玉ごとに光つらぬる秋のよの月
241 聞111
あさぢ深くなりゆくあとをわけ入れば袂にぞまづ露はちりける
158 恋 1266 夫木
朝露にぬれにし袖をほす程にやがて夕だつわが涙かな
53 夏 ○ 夫木
あさでほす賤がはつ木をたよりにてまとはれて咲く夕がほの花
279 補 夫木
朝日さすかしまの杉にゆふかけてくもらず照らせ世をうみの宮
255 聞224
あさ日にやむすぶ氷の苦はとけむむつのわをきくあかつきのそら
216 釈 868 上人 閑月
朝日まつほどはやみにてまよはまし有明の月の影なかりせば
182 雑 1231
浅ましやいかなるゆゑのむくいにてかかることしもある世なるらむ
220 釈 898
朝夕の子をやしなひにすと聞けばくにすぐれても悲しかるらむ
264 残2
芦の家のひまもる月のかげまてばあやなく袖に時雨もりけり
238 聞87
あしひきのおなじ山よりいづれども秋の名を得てすめる月かな
274 補 上人 御裳濯河 御裳濯
あしひきの山陰なればと思ふまに梢につぐるひぐらしの声
149 恋 627 上人
あしびきの山のあなたに君すまば入るとも月を惜しまざらまし
192 雑 1421
あしよしを思ひわくこそ苦しけれただあらるればあられける身を
217 釈 874
あだならぬやがてさとりに帰りけり人のためにもすつる命は
27 春 137 心中
あだにちる梢の花をながむれば庭には消えぬ雪ぞつもれる
200 哀 925
あだに散る木葉につけて思ふかな風さそふめる露の命を
37 春 130 夫木
あだにちるさこそ梢の花ならめすこしはのこせ春の山風
139 羇 1213 玄玉 (寂然法師歌)
あだにふく草のいほりのあはれより袖に露おく大原の里
104 冬 573
あたらしき柴のあみ戸をたちかへて年のあくるを待ちわたるかな
57 秋 288
あたりまであはれ知れともいひがほに荻の音する秋の夕風
154 恋 695 夫木
東路やあひの中山ほどせばみ心のおくの見えばこそあらめ
280 補 新勅撰
東路やしのぶの里にやすらひてなこその関をこえぞわづらふ
90 冬 503 上人追加 続後撰 万代
東屋のあまりにもふる時雨かな誰かは知らぬ神無月とは
49 夏 212
東屋のをがやが軒のいと水に玉ぬきかくるさみだれの頃
209 哀 826
跡しのぶ人にさへまた別るべきその日をかねて知る涙かな
40 春 159
あとたえて浅茅しげれる庭の面に誰分け入りて菫つみけむ
98 冬 534
跡とむる駒の行方はさもあらばあれ嬉しく君にゆきも逢ひぬる
278 補 新勅撰
跡とめてふるきをしたふ世ならなむ今もありへば昔なるべし
208 哀 824
あとをとふ道にや君は入りぬらむ苦しき死出の山へかからで
37 春 129 上人
あながちに庭をさへ吹く嵐かなさこそ心に花をまかせめ
77 秋 406
あながちに山にのみすむ心かな誰かは月の入るを惜しまぬ
143 恋 578
あはざらむことをば知らず帚木のふせやと聞きて尋ね行くかな
102 冬 523 上人追加 夫木
あはせたる木ゐのはし鷹をきとらし犬かひ人の聲しきるなり
126 羇 1385 夫木
あはせばやさぎを烏と碁をうたばたふしすがしま黒白の浜
94 冬 548 万代
淡路がた磯わのちどり声しげしせとの塩風冴えまさる夜は
94 冬 549 上人 心中
あはぢ潟せとの汐干の夕ぐれに須磨よりかよふ千鳥なくなり
168 雑 1002
あはぢ嶋せとのなごろは高くとも此汐わたにさし渡らばや
155 恋 710 上人 心中 宮河
あはれあはれ此世はよしやさもあらばあれこん世もかくや苦しかるべき
251 聞199 夫木
あはれあはれかかる憂き目をみるみるは何とて誰も世にまぎるらむ
58 秋 ○ 上人 新古今 玄玉 御裳濯 御裳濯河 自讃歌 物語
あはれいかに草葉の露のこぼるらむ秋風立ちぬ宮城野の原
243 聞125
あはれいかにゆたかに月をながむらむ八十島めぐるあまの釣舟
237 聞82
あはれこもる思ひをかこふ垣根をばすぎてかたらへ山ほととぎす
139 羇 1208 (寂然法師歌)
あはれさはかうやと君も思ひ知れ秋暮れがたの大原の里
100 冬 1485
あはれしりて誰か分けこむ山里の雪降り埋む庭の夕ぐれ
209 哀 830 (院少納言局歌)
哀しる空にはあらじわび人の涙ぞ今日は雨とふるらむ
209 哀 829
哀しる空も心のありければなみだに雨をそふるなりけり
188 雑 911
あはれ知る涙の露ぞこぼれける草のいほりをむすぶちぎりは
83 秋 ○ ▲ 上人、心中 万代
あはれ知る人見たらばとおもふかな旅寝の袖にやどる月影
75 秋 ▲ 416
あはれしる人見たらばと思ふかな旅寝の床にやどる月影
197 雑 1148
あはれただ草のいほりのさびしきは風より外にとふ人ぞなき
154 恋 698
あはれてふなさけに恋のなぐさまば問ふことの葉や嬉しからまし
154 恋 705 上人 心中 新古今 宮河 物語
あはれとてなどとふ人のなかるらむもの思ふやどの荻の上風
「新潮」
あはれとて訪ふ人のなどなかるらんもの思ふ宿の荻の上風
158 恋 1276 上人追加 新古今 物語
あはれとて人の心のなさけあれな数ならぬにはよらぬなさけを
205 哀 803 上人 心中 新古今
哀とも心に思ふ程ばかりいはれぬべくはとひもこそせめ
123 羇 1114 物語(広)
あはれとも花みし嶺に名をとめて紅葉ぞ今日はともに散りける
148 恋 618 上人 心中 玉葉
あはれとも見る人あらば思はなむ月のおもてにやどす心を
112 羇 1369
あはれなり同じ野山にたてる木のかかるしるしの契ありけり
197 雑 1149
あはれなりよりより知らぬ野の末にかせぎを友になるるすみかは
238 聞88
あはれなる心のおくをとめゆけば月ぞおもひのねにはなりける
216 釈 1187
あはれびの深きちかひにたのもしき清きながれの底くまれつつ
240 聞108 上人追加 夫木
あはれみえし袖の露をばむすびかへて霜にしみゆく冬枯の野べ
283 補 上人
あばれゆく柴のふたては山里の心すむべきすまひなりけり
34 春 ○ 上人 新勅撰
あはれわれおほくの春の花を見てそめおく心誰にゆづらむ
252 聞211
あはれみし乳房のこともわすれけり我がかなしみの苦のみおぼえて
230 聞30 夫木
あはれみの名残をばなほとどめけり濁るおもひの水すまぬ世に
260 聞252
あひそめてうらこき恋になりぬれば思ひかへせどかへされぬかな
155 恋 ○ 上人
あひ見ては訪はれぬうさぞ忘れぬるうれしきをのみまづ思ふまに
160 恋 1300
逢ふことのなき病にて恋ひ死なばさすがに人やあはれと思はむ
156 恋 1249
逢ふことのなくてやみぬるものならば今みよ世にもありやはつると
144 恋 585
あふことをしのばざりせば道芝の露よりさきにおきてこましや
143 恋 新潮欠 581a
あふことを夢なりけりと思ひわく心のけさは恨めしきかな
164 恋 1350 上人 心中 宮河 千載
あふと見しその夜の夢のさめであれな長き眠りはうかるべけれど
143 恋 582
あふとみることを限りの夢路にてさむる別のなからましかば
158 恋 1269 上人 心中 新古今 物語
あふまでの命もがなと思ひしは悔しかりける我がこころかな
124 羇 1007 夫木
近江路や野ぢの旅人急がなむやすかはらとて遠からぬかは
146 恋 615
天くだる神のしるしのありなしをつれなき人の行方にてみむ
136 羇 748
あまくだる名を吹上の神ならば雲晴れのきて光あらはせ
219 釈 886 上人集 心中
天雲のはるるみ空の月かげに恨なぐさむをばすての山
150 恋 650 上人追加 玉葉
天雲のわりなきひまをもる月の影ばかりだにあひみてしがな
56 秋 260 夫木
天の河けふの七日は長き世のためしにもひくいみもしつべし
283 補 夫木
天の川流れてくだる雨をうけて玉のあみはるささがにのいと
71 秋 331
天の川名にながれたるかひありて今宵の月はことにすみけり
80 秋 359
天の原朝日山より出づればや月の光の昼にまがへる
82 秋 377 上人 心中 続後撰
天の原おなじ岩戸を出づれども光ことなる秋の夜の月
226 聞2 夫木
あまのはら雲ふきはらふ風なくば出でてややまむ山のはの月
148 恋 623
天の原さゆるみそらは晴れながら涙ぞ月のくまになるらむ
78 秋 307
天のはら月たけのぼる雲路をば分けても風の吹きはらはなむ
116 羇 1380
あま人のいそしく帰るひしきものは小にしはまぐりからなしただみ
22 春 ○ 夫木
雨しのぐ身延の郷のかき柴に巣立はじむる鶯のこゑ
150 恋 638 万代
あやにくにしるくも月の宿るかなよにまぎれてと思ふ袂に
158 恋 1273
あやにくに人めもしらぬ涙かなたえぬ心にしのぶかひなく
161 恋 1316 夫木
あやひねるささめのこ蓑きぬにきむ涙の雨を凌ぎがてらに
162 恋 1333 夫木
あやふさに人目ぞ常によかれける岩の角ふむほきのかけ道
151 恋 660 上人 心中 御裳濯河 夫木
あやめつつ人知るとてもいかがせん忍びはつべき袂ならねば
263 残9 上人追加 夫木
あやめ葺く軒ににほへるたちばなに来て聲ぐせよ山ほととぎす
237 聞73
あやめふく軒ににほへる橘にほととぎす鳴くさみだれの空
松屋本山家集
あやめふく宿のしるしに郭公一声なりとねをも掛けなん
168 雑 1000 夫木
あら磯の波にそなれてはふ松はみさごのゐるぞ便なりける
214 釈 915
あらしのみ時々窓におとづれて明けぬる空の名残をぞ思ふ
91 冬 498 夫木
嵐はく庭の落葉のをしきかなまことのちりになりぬと思へば
133 羇 1082 上人 続拾遺 万代 雲葉 物語
あらし吹く峰の木葉にともなひていづちうかるる心なるらむ
82 秋 946 上人 心中
あらし吹く嶺の木の間を分けきつつ谷の清水にやどる月かげ
225 神 1530
あらたなる熊野詣のしるしをばこほりの垢離にうべきなりけり
99 冬 新潮欠528a 夫木
あらち山さかしく下る谷もなくかじきの道をつくる白雪
208 哀 821 物語(広)
あらぬよの別はげにぞうかりける浅ぢが原を見るにつけても
84 秋 ○ 上人 御裳濯河 新勅撰
あらはさぬ我が心をぞうらむべき月やはうときをばすての山
97 冬 964
霰にぞものめかしくはきこえける枯れたるならの柴の落葉は
80 秋 360 上人 心中
有明の月のころにしなりぬれば秋は夜ながき心地こそすれ
277 補 新古今
有明は思ひ出あれやよこ雲のただよはれつるしののめのそら
220 釈 901
ありがたき人になりけるかひありて悟りもとむる心あらなむ
214 釈 864 (崇徳院歌)
ありがたき法にあふぎの風ならば心の塵をはらへとぞ思ふ
273 補 月詣
ありとてもいでやさこそはあらめとて花ぞうき世を思ひしりぬる
55 夏 981 万代
荒にける澤田のあぜにくらら生ひて秋待つべくもなきわたりかな
193 雑 766
あればとてたのまれぬかな明日は又きのふと今日はいはるべければ
79 秋 348
荒れわたる草のいほりにもる月を袖にうつしてながめつるかな
99 冬 540 上人追加 夫木
あをね山苔のむしろの上にして雪はしとねの心地こそすれ
「連歌」
259 聞245a (前句、顕廣・付句、西行)
あづさ弓はるのまとゐに花ぞみる
やさしことになほひかれつつ
「い」
186 雑 ○ 上人 新古今 物語
いかがすべき世にあらばやは世をもすててあなうの世やと更に思はむ
210 哀 836 風雅 (寂然法師歌)
いかがせむ跡の哀はとはずとも別れし人の行方たづねよ
163 恋 1345
いかさまに思ひつづけて恨みましひとへにつらき君ならなくに
100 冬 1487
いかだしの浪のしづむと見えつるは雪を積みつつ下すなりけり
169 雑 1089
いかでかは音に心のすまざらむ草木もなびく嵐なりける
37 春 123 上人
いかでかは散らであれとも思ふべき暫しと慕ふなさけ知れ花
206 哀 808 上人 心中
いかでとも思ひわかでぞ過ぎにける夢に山路を行く心地して
188 雑 904 ▲ 上人追加 物語
いかでわれ清く曇らぬ身となりて心の月の影をみがかむ
110 羇 1405
いかで我心の雲にちりすべき見るかひありて月を詠めむ
36 春 108
いかでわれ此世の外の思ひ出に風をいとはで花をながめむ
191 雑 774 上人追加 新千載 万代 物語
いかでわれこよひの月を身にそへてしでの山路の人を照らさむ
244 聞138
いかでわれ谷の岩根のつゆけきに雲ふむ山のみねにのぼらむ
271 補 上人
いかでわれ常世の花のさかり見てことわりしらむ帰るかりがね
270 残29
いかなれば空なるかげはひとつにてよろづの水に月宿るらむ
220 釈 896
いかなれば塵にまじりてます神につかふる人はきよまはるらむ
松屋本山家集
いかなれば雪しく野辺の笹の下を分けゆく水のこほらざるらん
岩波欠 雑 887 松屋本山家集 続千載
いかにしてうらみし袖に宿りけん出で難く見し有明の月
218 釈 885
いかにして聞くことのかくやすからむあだに思ひてえつる法かは
122 羇 1108
いかにして梢のひまをもとめえてこいけに今宵月のすむらむ
158 恋 1277
いかにせむうき名を世々にたて果てて思ひもしらぬ人の心を
79 秋 346
いかにせむ影をば袖にやどせども心のすめば月のくもるを
155 恋 708
いかにせんこむよのあまとなる程にみるめかたくて過ぐる恨を
157 恋 1258 上人 心中
いかにせんその五月雨のなごりよりやがてをやまぬ袖の雫を
160 恋 1301
いかにぞやいひやりたりしかたもなく物を思ひて過ぐる頃かな
83 秋 ○ 上人
いかにぞや残りおほかるここちして雲にかくるる秋の夜の月
84 秋 ○ ▲ 上人追加 物語
いかにわれ清く曇らぬ身となりて心の月の影を見るべき
257 聞231
いかばかりあはれなるらむゆふまぐれただ一人ゆく旅のなかぞら
78 秋 310
いかばかり嬉しからまし秋の夜の月すむ空に雲なかりせば
208 哀 815
いかばかり君思はまし道にいらでたのもしからぬ別なりせば
261 聞257
いかばかり凉しかるらむつかへきて御裳濯河をわたるこころは
86 秋 467 夫木
いく秋に我があひぬらむ長月のここぬかにつむ八重の白菊
162 恋 1323
いくほどもながらふまじき世の中にものを思はでふるよしもがな
246 聞151 夫木
池の上にはちすのいたをしきみててなみゐる袖を風のたためる
72 秋 322 上人 心中 夫木
池にすむ月にかかれる浮雲は払ひのこせるみさびなりけり
59 秋 282 夫木
池の面にかげをさやかにうつしもて水かがみ見る女郎花かな
84 秋 1474
いけ水に底きよくすむ月かげは波に氷を敷きわたすかな
218 釈 883
いさぎよき玉を心にみがき出でていはけなき身に悟をぞえし
松屋本山家集
いざ心花をたづぬといひなして吉野の奥へ深く入りなん
33 春 150
いざ今年ちれと櫻をかたらはむ中々さらば風や惜しむと
190 雑 1503
いざさらば盛おもふも程もあらじはこやが嶺の春にむつれて
78 秋 312
いさよはで出づるは月の嬉しくて入る山の端はつらきなりけり
249 聞175 夫木
石なごのたまの落ちくるほどなさに過ぐる月日はかはりやはする
118 羇 1451
いせじまやいるるつきてすまうなみにけことおぼゆるいりとりのあま
84 秋 1473
伊勢嶋や月の光のさひが浦は明石には似ぬかげぞすみける
100 冬 1484
急がずば雪に我が身やとどめられて山べの里に春をまたまし
56 秋 258 夫木
いそぎ起きて庭の小草の露ふまむやさしき数に人や思ふと
116 羇 1381
磯菜つまんいまおひそむるわかふのりみるめきはさひしきこころぶと
118 羇 1452
磯菜つみて波かけられて過ぎにける鰐の住みける大磯の根を
168 雑 1165 上人追加 夫木
磯菜つむあまのさをとめ心せよ沖ふく風に浪高くなる
168 雑 1166
磯による浪に心のあらはれてねざめがちなる苫やかたかな
168 雑 1004 夫木
磯にをる波のけはしく見ゆるかな沖になごろや高く行くらむ
松屋本山家集
いそのかみ荒れたる宿を訪ひに来て袂に雨ぞさらに降りぬる
57 秋 1024
いそのかみ古きすみかへ分け入れば庭のあさぢに露ぞこぼるる
283 補 上人 心中
いそのかみ古きをしたふ世なりせば荒れたる宿に人住みなまし
154 恋 693
磯のまに波あらげなるをりをりは恨をかづく里のあま人
248 聞172
いたきかな菖蒲かぶりの茅卷馬はうなゐわらはのしわざと覚えて
173 雑 1009 上人 心中 夫木
いたけもるあまみか時になりにけりえぞが千島を煙こめたり
260 聞255 夫木
いちごもるうばめ媼のかさねもつこのて柏におもてならべむ
158 恋 1271
いつかはとこたへむことのねたきかな思ひもしらず恨きかせよ
223 神 1226 夫木
いつか又いつきの宮のいつかれてしめのみうちに塵を払はむ
268 残25
いつか又めぐり逢ふべき法の輪の嵐の山を君しいでなば
110 羇 1413
いつかわれこの世の空を隔たらむあはれあはれと月を思ひて
162 恋 1324
いつか我ちりつむとこを払ひあげてこむとたのめむ人を待つべき
104 冬 577
いつかわれ昔の人といはるべきかさなる年を送りむかへて
79 秋 340 上人 心中 風雅 玄玉 御裳濯 宮河
いづくとてあはれならずはなけれども荒れたる宿ぞ月は寂しき
212 哀 844
いづくにかねぶりねぶりてたふれふさむと思ふ悲しき道芝の露
188 雑 909 上人 千載
いづくにか身をかくさまし厭ひてもうき世にふかき山なかりせば
189 雑 新潮欠 上人 新古今 物語
いづくにもすまれずばただ住まであらむ柴のいほりのしばしなる世に
松屋本山家集
いつしかと音羽の滝のうぐひすぞまづ都には初音鳴くべき
15 春 1063
いつしかも初春雨ぞふりにける野辺の若菜も生ひやしぬらむ
14 春 8
いつしかも春きにけりと津の国の難波の浦を霞こめたり
161 恋 1307 物語
いつとなき思ひは富士の烟にておきふす床やうき島が原
154 恋 696
いつとなく思ひにもゆる我身かな浅間の煙しめる世もなく
213 哀 ○ 上人 新古今 物語
いつなげきいつ思ふべきことなれば後の世知らで人のすぐらむ
192 雑 758 物語
いつの世に長きねぶりの夢覚めておどろくことのあらむとすらむ
87 秋 472
いつよはる紅葉の色は染むべきと時雨にくもる空にとはばや
70 秋 383
出でながら雲にかくるる月かげをかさねて待つや二むらの山
60 秋 266 夫木
糸すすきぬはれて鹿の伏す野べにほころびやすき藤袴かな
174 雑 853
いとどいかに西にかたぶく月影を常よりもけに君したふらむ
181 雑 ○ 続後撰
いとどいかに山を出でじとおもふらむ心の月を独すまして
184 雑 1138 上人追加 玉葉 (讃岐の院女房歌)
いとどしくうきにつけても頼むかな契りし道のしるべたがふな
87 秋 473 夫木
いとと山時雨に色を染めさせてかつがつ織れる錦なりけり
246 聞147
いとひいでて無漏の境に入りしより□□みることはさとりにぞなる
181 雑 ○ 上人追加 玉葉 月詣 (藤原成通ではなく西住法師歌)
いとふべきかりのやどりは出でぬなり今はまことの道を尋ねよ
77 秋 403 上人 心中
いとふ世も月すむ秋になりぬれば長らへずばと思ふなるかな
241 聞114
いとへただつゆのことをも思ひおかで草の庵のかりそめの世ぞ
81 秋 373
いとへどもさすがに雲のうちちりて月のあたりを離れざりけり
162 恋 1320 夫木
いとほしやさらに心のをさなびてたまぎれらるる戀もするかな
176 雑 734 上人 心中 月詣 物語(広)
いにしへにかはらぬ君が姿こそ今日はときはの形見なるらめ
215 釈 861
いにしへにもれけむことの悲しさは昨日の庭に心ゆきにき
83 秋 ○ 上人
古へのかたみに月ぞなれとなるさらでのことはあるはあるかは
247 聞159
いにしへのかたみにならば秋の月さし入るかげを宿にとどめよ
207 哀 812
いにしへのかたみになると聞くからにいとど露けき墨染の袖
272 補 上人
いにしへの人の心のなさけをば老木の花のこずゑにぞ知る
119 羇 1219 上人 心中 物語(広)
古への松のしづえをあらひけむ波を心にかけてこそ見れ
190 雑 799 上人 心中
いにしへはついゐし宿もあるものを何をか忍ぶしるしにはせむ
194 雑 795
いにしへをこふる涙の色に似て袂にちるは紅葉なりけり
27 春 102上人 心中 物語(広) (兵衛局歌)
いにしえを忍ぶる雨と誰か見む花もその世の友しなければ
77 秋 400 上人
いにしへを何につけてか思ひ出でむ月さへかはる世ならましかば
236 聞68
命をしむ人やこの世になからまし花にかはりて散る身と思はば
松屋本山家集 夫木
岩倉や八入染めたるくれなゐを長谷川におしひたしつる
152 恋 612
いはしろの松風きけば物を思ふ人も心はむすぼほれけり
227 聞9 夫木
岩せきてこけきる水はふかけれど汲まぬ人には知られざりけり
125 羇 ○ 御裳濯河 万代 御裳濯 物語
岩戸あけしあまつみことのそのかみに櫻を誰か植ゑ始めけむ
112 羇 1368
岩にせくあか井の水のわりなきは心すめともやどる月かな
116 羇 1377
岩のねにかたおもむきに波うきてあはびをかづく海人のむらぎみ
93 冬 554 月詣
岩間せく木葉わけこし山水をつゆ洩らさぬは氷なりけり
15 春 ○ 上人 御裳濯河 御裳濯 新古今 玄玉 物語
岩間とぢし氷も今朝はとけそめて苔の下水みちもとむらむ
58 秋 970 夫木
いはれ野の萩が絶間のひまひまにこの手がしはの花咲きにけり
213 哀 1521
いひすてて後の行方を思ひはてばさてさはいかにうら嶋の筥
162 恋 1329 夫木
いひ立てて恨みばいかにつらからむ思へばうしや人のこころは
179 雑 931 (想空法師歌)
家の風つたふばかりはなけれどもなどか散らさぬなげの言の葉
179 雑 933 上人 (藤原公能歌)
家の風吹きつたふとも和歌の浦にかひあることの葉にてこそしれ
179 雑 934
家の風吹きつたへけるかひありてちることの葉のめづらしきかな
179 雑 932
家の風むねと吹くべきこのもとは今ちりなむと思ふ言の葉
107 羇 753 上人 新古今 物語 (江口の君歌)
家を出づる人とし聞けばかりの宿に心とむなと思ふばかりぞ
62 秋 303 上人 心中 風雅
庵にもる月のかげこそさびしけれ山田のひたの音ばかりして
122 羇 1109 上人 心中
いほりさす草の枕にともなひてささの露にも宿る月かな
159 恋 1281
今更に何かは人もとがむべきはじめてぬるる袂ならねば
155 恋 ○ 上人
今さらに何と人めをつつむらむしぼらば袖のかわくべきかは
25 春 58 上人 心中 夫木
今さらに春を忘るる花もあらじやすく待ちつつ今日も暮らさむ
153 恋 685 上人 心中 新古今 物語(広)
今ぞしる思ひ出でよと契りしは忘れむとての情なりけり
228 聞13 夫木
いまぞ知るたぶさの珠を得しことは心をみがくたとへなりけり
126 羇 1386 夫木
今ぞ知るふたみの浦のはまぐりを貝あはせとておほふなりける
196 雑 1048 上人 心中 新拾遺
今だにもかかりといひし瀧つせのその折までは昔なりけむ
34 春 ○ 上人
今の我も昔の人も花みてん心の色はかはらじものを
157 恋 1260
今はさは覚めぬを夢になしはてて人に語らでやみねとぞ思ふ
157 恋 1254
今はただ忍ぶ心ぞつつまれぬなげかば人や思ひしるとて
161 恋 1313 上人 玉葉
今は我恋せん人をとぶらはむ世にうきことと思ひ知られぬ
261 聞263
いまもされなむかしのことを問ひてまし豊葦原の岩根このたち
249 聞182 夫木
いまもなしむかしも聞かずしきしまや吉野の花を雪のうづめる
249 聞176
いまゆらも小網にかかれるいささめのいさ又しらず恋ざめのよや
158 恋 1270 上人追加 玉葉 万代
今よりはあはで物をば思ふとも後うき人に身をばまかせじ
111 羇 1357 新後拾遺 万代 雲葉
今よりは厭はじ命あればこそかかるすまひのあはれをもしれ
32 春 86
今よりは花見む人に伝へおかむ世をのがれつつ山に住まむと
194 雑 1044 上人 心中 月詣
今よりは昔がたりは心せむあやしきまでに袖しをれけり
173 雑 1154 夫木
いむといひて影にあたらぬ今宵しもわれて月みる名や立ちぬらむ
127 羇 1388 上人追加 夫木
いらご崎にかつをつり舟ならび浮きてはかちの浪にうかびてぞよる
248 聞173 夫木
入相のおとのみならず山でらはふみよむ聲もあはれなりけり
232 聞42
入りそめて悟りひらくる折はまたおなじ門より出づるなりけり
79 秋 337 上人 心中
入りぬとや東に人はをしむらむ都に出づる山の端の月
170 雑 942 上人 心中
入日さす山のあなたは知らねども心をぞかねておくり置きつる
206 哀 807 上人 心中 寂然集 (寂然法師歌)
いるさにはひろふかたみも残りけり帰る山路の友は涙か
176 雑 735 上人 心中 月詣 物語(広) (藤原為業歌)
色かへで独のこれるときは木はいつをまつとか人の見るらむ
231 聞36
いろくづも網のひとめにかかりてぞ罪もなぎさへみちびかるべき
247 聞155
いろそむる花のえだにもすすまれてこずゑまでさくわが心かな
271 補 御裳濯河 夫木
色つつむ野辺のかすみの下もえぎ心をそむるうぐひすのこゑ
271 補 御裳濯 宮河
色にしみ香もなつかしき梅が枝に折しもあれやうぐひすの声
156 恋 1248
色に出でていつよりものは思ふぞと問ふ人あらばいかがこたへむ
194 雑 798 上人 心中 物語 (兵衛の局歌)
色深き梢を見てもしぐれつつふりにしことをかけぬ日ぞなき
159 恋 1283 続後拾遺
色ふかき涙の河の水上は人をわすれぬ心なりけり
243 聞123 上人
いろよりは香はこきものを梅の花かくれむものかうづむしら雪
「う」
251 聞200 夫木
うかるべきつひのおもひをおきながらかりそめの世に惑ふはかなさ
188 雑 912
うかれ出づる心は身にもかなはねばいかなりとてもいかにかはせむ
81 秋 371
浮雲の月のおもてにかかれどもはやく過ぐるは嬉しかりけり
85 秋 1481
うきことも思ひとほさじおしかへし月のすみける久方の空
「新潮」
憂き世とも思ひとほさじおしかへし月のすみける久方の空
151 恋 664
うきたびになどなど人を思へども叶はで年の積りぬるかな
162 恋 1326 夫木
うきによりつひに朽ちぬる我が袖を心づくしに何忍びけむ
152 恋 674 上人
うきふしをまづ思ひしる涙かなさのみこそはと慰むれども
83 秋 ○ 上人 御裳濯河 玄玉 玉葉 万代 御裳濯 物語
うき身こそいとひながらもあはれなれ月をながめて年をへぬれば
181 雑 ○ 続後撰 (慈円僧正歌)
うき身こそなほ山陰にしづめども心にうかぶ月を見せばや
46 夏 ○ 上人
うき身知りて我とは待たじ時鳥橘にほふとなりたのみて
155 恋 ○ 上人
うき身知る心にも似ぬ涙かな恨みんとしもおもはぬものを
157 恋 1250 上人追加 続拾遺
うき身とて忍ばば恋のしのばれて人の名だてになりもこそすれ
21 春 24
うき身にて聞くも惜しきはうぐひすの霞にむせぶ曙のこゑ
275 補 上人
うき世厭ふ山の奧にも慕ひ来て月ぞすみかのあはれをぞ知る
47 夏 ○ 上人 御裳濯河
うき世おもふわれかはあやな時鳥あはれもこもる忍びねの声
191 雑 1506
うき世とし思はでも身の過ぎにける月の影にもなづさはりつつ
84 秋 ○ ▲ 上人 宮河 夫木
うき世とて月すまずなることもあらばいかがはすべき天の益人
238 聞91 ▲ 上人 宮河 夫木
うき世とて月すまずなることもあらばいかにかすべき天の益人
36 春 117 上人 心中 宮河 玉葉 月詣 玄玉 裳御濯 夫木
うき世にはとどめおかじと春風のちらすは花を惜しむなりけり
269 残27 宮河 玄玉
うき世にはほかなかりけり秋の月ながむるままに物ぞ悲しき
135 羇 747 上人 心中 物語 (兵衛の局歌)
うき世をばあらしの風にさそはれて家を出でぬる栖とぞ見る
196 雑 ○ 上人 続古今
うき世をばあらればあるにまかせつつ心よいたくものな思ひそ
松屋本山家集 上人追加 続古今 万代 雲葉
憂きを憂しと思はざるべき我身かは何とて人の恋しかるらむ
21 春 25 上人 物語
うぐひすのこゑぞ霞にもれてくる人目ともしき春の山里
38 春 ○ 上人
鶯の声に櫻ぞちりまがふ花のこと葉を聞くここちして
22 春 993
鶯の声にさとりをうべきかは聞く嬉しさもはかなかりけり
272 補 上人
うぐひすの声を山路のしるべにて花みてつたふ岩のかけ径
243 聞128 夫木
鶯のなくねに春をつげられてさくらのえだやめぐみそむらむ
21 春 26
うぐひすの春さめざめとなきゐたる竹の雫や涙なるらむ
47 夏 ○ ▲ 上人 御裳濯河 夫木
鶯の古巣より立つほととぎす藍よりもこき声のいろかな
237 聞78 ▲ 上人 御裳濯河 夫木
鶯の古巣よりたつほととぎす藍よりもこきこゑのいろかな
22 春 992
鶯は田舎の谷の巣なれどもだみたる声は鳴かぬなりけり
松屋本山家集
うぐひすは桜に梅のかをるをりは庭の小竹に夜がれをする
21 春 28
うぐひすは谷の古巣を出でぬともわが行方をば忘れざらなむ
松屋本山家集
うぐひすは古巣にこもる声のうちに春をばもちて告ぐるなりけり
21 春 29 夫木
鶯は我を巣もりにたのみてや谷の外へは出でて行くらむ
196 雑 ○ ▲ 上人追加 新古今 物語
うけがたき人のすがたにうかび出でてこりずや誰も又しづむらむ
251 聞201 ▲ 上人追加 新古今 物語
うけがたき人のすがたにうかみいでて懲りずや誰もまたしづむべき
157 恋 1262
うたたねの夢をいとひし床の上の今朝いかばかり起きうかるらむ
198 雑 1391 夫木
宇治川の早瀬おちまふれふ船のかづきにちかふこひのむらまけ
65 秋 463
うち具する人なき道の夕されば声立ておくるくつわ虫かな
163 恋 1347 上人 夫木
うちたえで君にあふ人いかなれや我が身も同じ世にこそはふれ
149 恋 635
うちたえてなげく涙に我が袖の朽ちなばなにに月を宿さむ
71 秋 333 上人 心中
うちつけに又こむ秋のこよひまで月ゆゑ惜しくなる命かな
160 恋 1295
うちとけてまどろまばやは唐衣よなよなかへすかひもあるべき
151 恋 654
打向ふそのあらましの面かげをまことになしてみるよしもがな
213 哀 1515
うつつをも現とさらに思はねば夢をば夢と何かおもはむ
69 秋 425 上人 心中
鶉なく折にしなれば霧こめてあはれさびしき深草の里
82 秋 945
うづらふす苅田のひつぢ思ひ出でてほのかにてらす三日月の影
61 秋 1027 夫木
うつり行く色をばしらず言の葉の名さへあだなる露草の花
18 春 22
卯杖つき七くさにこそ出でにけれ年をかさねて摘める若菜に
277 補 上人
うとかりし恋も知られぬいかにして人を忘るることをならはむ
165 恋 1499 上人 心中
うとくなる人は心のかはるとも我とは人に心おかれじ
155 恋 ○ 上人 新古今 物語
うとくなる人を何とて恨むらむ知られず知らぬ折もありしを
248 聞165 夫木
うなゐ子がすさみにならす麦笛のこゑにおどろく夏のひるぶし
237 聞81
うの花のかげにかくるるねのみかはなみだをしのぶ袖もありけり
99 冬 541
うの花の心地こそすれ山ざとの垣ねの柴をうづむ白雪
250 聞188
卯の花を垣根に植ゑてたちばなの花まつものを山ほととぎす
22 春 41 上人 心中
梅が香にたぐへて聞けばうぐひすの声なつかしき春の山ざと
20 春 39 夫木
梅が香を山ふところに吹きためて入りこん人にしめよ春風
19 春 ○ 上人
梅をのみわが垣ねには植ゑ置きて見に来む人に跡しのばれむ
213 哀 1520
うらうらとしなんずるなと思ひとけば心のやがてさぞとこたふる
99 冬 536 上人 上人追加 言葉 夫木
うらがへすをみの衣と見ゆるかな竹のうら葉にふれる白雪
185 雑 ○ 上人 殷富門院太夫集
浦島がこは何ものと人問はばあけてかひある箱とこたへよ
168 雑 1001 上人 心中
浦ちかみかれたる松の梢には波の音をや風はかるらむ
161 恋 1306 上人
うらみじと思ふ我さへつらきかなとはで過ぎぬる心づよさを
156 恋 ○ ▲ 上人追加 玉葉
うらみてもなぐさみてましなかなかにつらくて人のあはぬと思はば
163 恋 1346 ▲ 上人追加 玉葉
恨みてもなぐさめてまし中々につらくて人のあはぬと思へば
76 秋 新潮欠 413a
嬉しきは君にあふべき契ありて月に心の誘はれにけり
245 聞145
うれしさのなほや心にのこらまし程なく花のひらけざりせば
41 春 169 上人 心中
嬉しとも思ひぞわかぬ郭公春きくことの習ひなければ
78 秋 308 上人 心中 物語(広)
嬉しとや待つ人ごとに思ふらむ山の端出づる秋の夜の月
「え」
246 聞150
枝かはし翼ならべしちぎりだに世にありがたくおもひしものを
「お・を」
26 春 93 上人 心中 夫木
老づとに何をかせまし此春の花待ちつけぬわが身なりせば
(新潮)思ひ出でに何をかせましこの春の花待ちつけぬわが身なりせば
283 補 夫木
老いゆけば末なき身こそ悲しけれ片やまばたの松の風折れ
66 秋 419
沖かけて八重の潮路を行く船はほのかにぞ聞く初雁のこゑ
158 恋 1274
荻の音はもの思ふ我になになればこぼるる露に袖のしをるる
62 秋 299 新後撰
荻の葉を吹き過ぎて行く風の音に心みだるる秋の夕ぐれ
132 羇 1443
奧に猶人みぬ花の散らぬあれや尋ねを入らむ山ほととぎす
89 秋 485
をぐら山麓に秋の色はあれや梢のにしき風にたたれて
95 冬 ○ 上人 宮河 新古今 物語
小倉山ふもとの里に木葉ちれば梢にはるる月を見るかな
276 補 上人 宮河 新勅撰
をぐら山ふもとをこむる秋霧にたちもらさるるさを鹿の声
208 哀 819 上人 心中 新千載 万代
送りおきて帰りし道の朝露を袖にうつすは涙なりけり
208 哀 823
おくれゐて涙にしづむ古里を玉のかげにも哀とやみる
57 秋 972 夫木
小笹原葉ずゑの露の玉に似てはしなき山を行く心地する
松屋本山家集
抑ふれど涙ぞさらにとどまらぬ衣の関にあらぬ袂は
68 秋 436
をじか鳴く小倉の山の裾ちかみただひとりすむ我が心かな
57 秋 287
をじか伏す萩咲く野辺の夕露をしばしもためぬ荻の上風
177 雑 738 物語(広) (作者不詳)
惜しからぬ身を捨てやらでふる程に長き闇にや又迷ひなむ
松屋本山家集
おしこめて秋の野照らす月影は花なる露を玉にみがける
230 聞26 夫木
おしてるや深きちかひの大網にひかれむことのたのもしきかな
104 冬 575 上人 心中
おしなべて同じ月日の過ぎ行けば都もかくや年は暮れぬる
58 秋 286
おしなべて木草の末の原までもなびきて秋のあはれ見えける
275 補 夫木
おしなべてなびく尾花の穂なりけり月のいでつる峯の白雲
30 春 64 上人 心中 御裳濯河 千載 御裳濯
おしなべて花の盛に成にけり山の端ごとにかかる白雲
56 秋 ○ 上人 宮河 新古今 玄玉 御裳濯 物語
おしなべてものを思はぬ人にさへ心をつくる秋のはつ風
36 春 116 上人 心中 宮河
惜しまれぬ身だにも世にはあるものをあなあやにくの花の心や
244 聞140
をしみおきしかかる御法はきかざりき鷲の高嶺の月はみしかど
181 雑 ○ 上人(季花亭文庫本)玉葉集 万代
をしむとて惜しまれぬべきこの世かは身をすててこそ身をもたすけめ
273 補 上人
惜しむ人の心をさへに散らす哉花をさそへる春の山風
74 秋 385
をしむ夜の月にならひて有明のいらぬをまねく花薄かな
273 補 上人
惜しむ人のこころをさへにちらすかな花をさそへる春の山かぜ
89 秋 490 上人 心中
をしめども鐘の音さへかはるかな霜にや露の結びかふらむ
36 春 121
惜しめばと思ひげもなくあだにちる花は心ぞかしこかりける
227 聞6 夫木
遅ざくら見るべかりける契あれや花のさかりは過ぎにけれども
松屋本山家集
音羽山いつしか峰の霞むかな待たるる春は関越えにけり
96 冬 963 上人 心中 夫木
音もせで岩間たばしる霰こそ蓬の宿の友になりけれ
175 雑 730 新後撰 (藤原成通歌)
おどろかす君によりてぞ長き夜の久しき夢はさむべかりける
175 雑 731 新後撰
おどろかぬ心なりせば世の中を夢ぞとかたるかひなからまし
212 哀 845
おどろかむと思ふ心のあらばやは長きねぶりの夢も覚むべく
230 聞29 夫木
おなじくは嬉しからまし天の川のりをたづねしうき木なりせば
116 羇 1375
同じくはかきをぞさして干しもすべきはまぐりよりは名もたよりあり
158 恋 1265 上人 心中
おなじくは咲き初めしよりしめおきて人にをられぬ花と思はむ
32 春 996 上人 心中 風雅
おなじくは月の折さけ山櫻花みるをりのたえまあらせじ
松屋本山家集
おなじ里におのおの宿をしめおきてわが垣根とは思ふなりけり
松屋本山家集
おなじ月の来寄する浪にゆられ来てみほが崎にも宿るなりけり
33 春 154
同じ身の珍らしからず惜しめばや花もかはらず咲きは散るらむ
160 恋 1292
おのづからありへばとこそ思ひつれたのみなくなる我が命かな
104 冬 576 上人追加 新古今 物語(広)
おのづからいはぬをしたふ人やあるとやすらふ程に年の暮れぬる
91 冬 502 玉葉
おのづから音する人もなかりけり山めぐりする時雨ならでは
218 釈 882
おのづから清き心にみがかれて玉ときかくる法を知るかな
26 春 99 (源俊高歌)
おのづから来る人あらばもろともにながめまほしき山櫻かな
53 夏 248
おのづから月やどるべきひまもなく池に蓮の花咲きにけり
26 春 92
おのづから花なき年の春もあらば何につけてか日をくらさまし
277 補 夫木
小野山のうへより落つる瀧の名のおとなしにのみぬるる袖かな
121 羇 1107 上人 心中 物語(広)
をば捨は信濃ならねどいづくにも月すむ嶺の名にこそありけれ
24 春 32 上人 上人追加 心中 夫木
生ひかはる春の若草まちわびて原の枯野にきぎす鳴くなり
89 秋 484
大井河ゐせぎによどむ水の色に秋ふかくなるほどぞ知らるる
268 残24
大井川君が名残のしたはれて井堰の波のそでにかかれる
45 夏 191
大井河をぐらの山の子規ゐせぎに声のとまらましかば
142 賀 1175
大海のしほひて山になるまでに君はかはらぬ君にましませ
250 聞192 夫木
おぼえぬをたがたましひの来たるらむと思へばのきに螢とびかう
85 秋 1478
大かたの秋をば月につつませて吹きほころばす風の音かな
57 秋 294 上人 心中 御裳濯河 御裳濯 千載
おほかたの露には何のなるならむ袂におくは涙なりけり
60 秋 279 夫木
大方の野辺の露にはしをるれど我が涙なきをみなへしかな
62 秋 290 上人追加 新古今 御裳濯 物語
おぼつかな秋はいかなる故のあればすずろに物の悲しかるらむ
143 恋 580
おぼつかないかにも人のくれは鳥あやむるまでにぬるる袖かな
25 春 59 玉葉
おぼつかないづれの山の峰よりか待たるる花の咲きはじむらむ
169 雑 1005 上人 心中 夫木
おぼつかないぶきおろしの風さきにあさづま舟はあひやしぬらむ
32 春 146
おぼつかな谷は櫻のいかならむ嶺にはいまだかけぬ白雲
153 恋 678
おぼつかな何のむくいのかえりきて心せたむるあたとなるらむ
15 春 1066
おぼつかな春の日数のふるままに嵯峨野の雪は消えやしぬらむ
33 春 149 新続古今 万代
おぼつかな春は心の花にのみいづれの年かうかれそめけむ
212 哀 847
大浪にひかれ出でたる心地してたすけ船なき沖にゆらるる
100 冬 1489
大原はせれうを雪の道にあけて四方には人も通はざりけり
101 冬 1155 上人追加 御裳濯河 新勅撰 玄玉 唯心房集 物語
大原は比良の高嶺の近ければ雪ふるほどを思ひこそやれ
190 雑 1047 ▲ 残 上人 物語(広)
大原やまだすみがまもならはずといひけむ人を今あらせばや
266 残19 ▲ 上人 物語(広)
大原やまだすみがまもならはずといひけん人を今あらせばや
59 秋 284 万代 夫木
をみなへし池のさ波に枝ひぢて物思ふ袖のぬるるがほなる
59 秋 277 夫木
女郎花色めく野辺にふれはらふ袂に露やこぼれかかると
59 秋 276
をみなへし分けつる袖と思はばやおなじ露にもぬると知れれば
150 恋 639
おもかげに君が姿をみつるより俄に月のくもりぬるかな
148 恋 621 上人追加 新古今 物語
面影のわすらるまじき別かな名残を人の月にとどめて
251 聞204
重きいはをももひろ千ひろ重ねあげて砕くやなにの報いなるらむ
232 聞38
重き罪にふかき底にぞしづまましわたす筏ののりなかりせば
244 聞139 夫木
思はずば信夫のおくへこましやはこえがたかりし白河の関
50 夏 229
おもはずもあなづりにくき小川かな五月の雨に水まさりつつ
88 秋 481
思はずよよしある賤のすみかかな蔦のもみぢを軒にははせて
156 恋 1241
思ひあまりいひ出でてこそ池水の深き心のほどは知られめ
227 聞10 夫木
思ひありてつきぬ命のあはれみをよそのことにて過ぎにけるかな
227 聞8
思ひあれやもちにひと夜のかげをそへて鷲のみ山に月の入りける
149 恋 626
おもひ出づることはいつもといひながら月にはたへぬ心なりけり
192 雑 719
思ひ出づる過ぎにしかたをはづかしみあるにものうきこの世なりけり
204 哀 789
思ひいづるなさけを人のおなじくは其折とへな嬉しからまし
241 聞110
思ひいでし尾上の塚のみちたえて松風かなし秋のゆふやみ
193 雑 1427
思ひ出でて誰かはとめて分けもこむ入る山道の露の深さを
22 春 1068 上人追加 夫木
思ひ出でて古巣にかへる鶯は旅のねぐらや住みうかるらむ
241 聞112
思ひいでてみ山おろしのかなしさを時々だにもとふ人もがな
249 聞185
おもひいでに花の波にもながればや峯のしら雲瀧くだすめり
165 恋 1498
思ひ出でよみつの浜松よそだつるしかの浦波たたむ袂を
186 雑 ○ 上人
おもひおきし浅茅が露を分け入ればただわずかなる鈴虫の声
280 補 新古今
思ひおく人の心にしたはれて露わくる袖のかへりぬるかな
272 補 御裳濯河
思ひかへすさとりや今日はなからまし花にそめおく色なかりせば
145 恋 610
思ひかね市の中には人多みゆかり尋ねてつくる玉章
223 神 1225 上人 心中 (宣旨の局歌)
思ひきやいみこし人のつてにして馴れし御うちを聞かむものとは
162 恋 1332
思ひきやかかるこひぢに入り初めてよく方もなき歎せんとは
松屋本山家集
思ひきやよそに鳴海のうらみして涙に袖を洗うべしとは
151 恋 652 上人 心中 宮河 新古今 物語
思ひしる人あり明のよなりせばつきせず身をば恨みざらまし
85 秋 1480
思ひしるを世には隈なきかげならず我がめにくもる月の光は
71 秋 335 上人 心中
思ひせぬ十五の年もあるものをこよひの月のかからましかば
「新潮」
老いもせぬ十五の年もあるものを今宵の月のかからましかば
274 補 御裳濯
おもひそむる心の色もかはりけりけふ秋になる夕ぐれの空
84 秋 1477
思ひとけば千里のかげも数ならずいたらぬくまも月はあらせじ
138 羇 1158 (西住法師歌) 夫木
思ひやる心は見えで橋の上にあらそひけりな月の影のみ
30 春 63
おもひやる心や花にゆかざらむ霞こめたるみよしのの山
31 春 81 夫木
思ひやる高嶺の雲の花ならばちらぬ七日は晴れじとぞ思ふ
松屋本山家集
思ひ分く心なかりし昔だに月をあはれと見てど過こし
222 神 1022 上人追加 夫木
思ふことみあれのしめにひく鈴のかなはずばよしならじとぞ思ふ
177 雑 741
思ふともいかにしてかはしるべせむ教ふる道に入らばこそあらめ
57 秋 285 上人 心中 新続古今 万代
思ふにも過ぎてあはれにきこゆるは荻の葉みだる秋の夕風
192 雑 1419
思へ心人のあらばや世にもはぢむさりとてやはといさむばかりぞ
106 羇 1081
思へただ暮れぬとききし鐘の音は都にてだに悲しきものを
207 哀 814 (藤原範綱歌)
思へただ今日の別のかなしさに姿をかへて忍ぶ心を
36 春 119 上人 心中
思へただ花のなからむ木のもとに何をかげにて我身住みなむ
101 冬 1156 唯心房集 (寂然法師歌)
思へただ都にてだに袖さえしひらの高嶺の雪のけしきは
161 恋 1315
思へども思ふかひこそなかりけれ思ひもしらぬ人を思へば
68 秋 440 上人 心中 新古今 御裳濯 物語
小山田の庵近く鳴く鹿の音におどろかされておどろかすかな
60 秋 267 上人 心中 夫木
折らで行く袖にも露ぞこぼれける萩の葉しげき野辺の細道
59 秋 281
折らぬより袖ぞぬれける女郎花露むすぼれて立てるけしきに
146 恋 595
折らばやと何思はまし梅の花めづらしからぬ匂ひなりせば
167 雑 979 上人 心中
をりかくる波のたつかと見ゆるかな洲さきにきゐる鷺のむら鳥
112 羇 1364 上人 心中 玉葉
折しもあれ嬉しく雪の埋むかなきこもりなむと思ふ山路を
115 羇 1373
おりたちてうらたに拾ふ海人の子はつみよりつみを習ふなりけり
147 恋 601
折りてただしをればよしや我が袖も萩の下枝の露によそへて
(新潮)朽ちてただしをればよしや我が袖も萩の下枝の露によそへて
99 冬 542 上人追加 夫木
折ならぬめぐりの垣のうの花をうれしく雪の咲かせつるかな
240 聞107
をりにあへば人も心ぞかはりけるかるるは庭のむぐらのみかは
47 夏 204 夫木
折におひて人に我身やひかれましつくまの沼の菖蒲なりせば
187 雑 ○ 上人
折につけて人の心のかはりつつ世にあるかひもなぎさなりけり
133 羇 1071 夫木
をりびつに花のくだ物つみてけり吉野の人のみやだてにして
「新潮」
思ひつつ花のくだものつみてけり吉野の人のみやたてにして
157 恋 1261
折る人の手にはたまらで梅の花誰がうつり香にならむとすらむ
188 雑 906
愚なる心にのみやまかすべき師となることもあるなるものを
196 雑 ○ ▲ 上人追加 新古今 物語(広)
おろかなる心のひくにまかせてもさてさはいかにつひの住かは
253 聞216 ▲ 上人追加 新古今 物語(広)
おろかなる心のひくにまかせてもさてさはいかにつひのおもひは
「連歌」
256 聞228 (前句、兵衛の局・付句、西行)
いくさを照らすゆみはりの月
こころきるてなる氷のかげのみか
268 残23 (前句、西行・付句、西住)
大井川舟にのりえてわたるかな
流にさををさすここちして
264 残14 (前句、寂然・付句、西行)
思ふにもうしろあはせになりにけり
うらがへりつる人の心は
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「他者詠歌」
139 羇 1213 玄玉 (寂然法師歌)
あだにふく草のいほりのあはれより袖に露おく大原の里
139 羇 1208 (寂然法師歌)
あはれさはかうやと君も思ひ知れ秋暮れがたの大原の里
209 哀 830 (院少納言局歌)
哀しる空にはあらじわび人の涙ぞ今日は雨とふるらむ
214 釈 864 (女房・崇徳院歌)
ありがたき法にあふぎの風ならば心の塵をはらへとぞ思ふ
210 哀 836 風雅 (寂然法師歌)
いかがせむ跡の哀はとはずとも別れし人の行方たづねよ
184 雑 1138 上人追加 玉葉 (讃岐の院女房歌)
いとどしくうきにつけても頼むかな契りし道のしるべたがふな
181 雑 ○ 上人追加 玉葉 月詣 (西住法師歌)
いとふべきかりのやどりは出でぬなり今はまことの道を尋ねよ
27 春 102上人 心中 物語(広) (兵衛局歌)
いにしえを忍ぶる雨と誰か見む花もその世の友しなければ
179 雑 931 (想空法師歌)
家の風つたふばかりはなけれどもなどか散らさぬなげの言の葉
179 雑 933 上人 (藤原公能歌)
家の風吹きつたふとも和歌の浦にかひあることの葉にてこそしれ
107 羇 753 上人 新古今 物語 (江口の君歌)
家を出づる人とし聞けばかりの宿に心とむなと思ふばかりぞ
206 哀 807 上人 心中 寂然集 (寂然法師歌)
いるさにはひろふかたみも残りけり帰る山路の友は涙か
176 雑 735 上人 心中 月詣 物語(広) (藤原為業歌)
色かへで独のこれるときは木はいつをまつとか人の見るらむ
194 雑 798 上人 心中 物語 (兵衛の局歌)
色深き梢を見てもしぐれつつふりにしことをかけぬ日ぞなき
181 雑 ○ 続後撰 (慈円僧正歌)
うき身こそなほ山陰にしづめども心にうかぶ月を見せばや
135 羇 747 上人 心中 物語 (兵衛の局歌)
うき世をばあらしの風にさそはれて家を出でぬる栖とぞ見る
177 雑 738 物語(広) (作者不詳)
惜しからぬ身を捨てやらでふる程に長き闇にや又迷ひなむ
175 雑 730 新後撰 (藤原成通歌)
おどろかす君によりてぞ長き夜の久しき夢はさむべかりける
26 春 99 (源俊高歌)
おのづから来る人あらばもろともにながめまほしき山櫻かな
223 神 1225 上人 心中 (宣旨の局歌)
思ひきやいみこし人のつてにして馴れし御うちを聞かむものとは
138 羇 1158 (西住法師歌) 夫木
思ひやる心は見えで橋の上にあらそひけりな月の影のみ
207 哀 814 (藤原範綱歌)
思へただ今日の別のかなしさに姿をかへて忍ぶ心を
101 冬 1156 唯心房集 (寂然法師歌)
思へただ都にてだに袖さえしひらの高嶺の雪のけしきは
259 聞245a (前句、顕廣・付句、西行)
あづさ弓はるのまとゐに花ぞみる
やさしことになほひかれつつ
264 残14 (前句、寂然?・付句、西行?)
思ふにもうしろあはせになりにけり
うらがへりつる人の心は
268 残23 (前句、西行?・付句、西住)
大井川舟にのりえてわたるかな
流にさををさすここちして
107 羇 新潮欠 1096a 御裳濯河 雲葉
あくがれしあまのがはらと聞くからにむかしの波の袖にかかれる
143 恋 新潮欠 581a
あふことを夢なりけりと思ひわく心のけさは恨めしきかな
99 冬 新潮欠 528a 夫木
あらち山さかしく下る谷もなくかじきの道をつくる白雪
189 雑 新潮欠 上人 新古今 物語(広)
いづくにもすまれずばただ住まであらむ柴のいほりのしばしなる世に
76 秋 新潮欠 413a
嬉しきは君にあふべき契ありて月に心の誘はれにけり
岩波欠 雑 887 松屋本山家集 続千載
いかにしてうらみし袖に宿りけん出で難く見し有明の月
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