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山家集索引
 

あ〜お か〜こ さ〜そ た〜と な〜の は〜ほ ま〜も や〜わ

「や」

211 哀 881
やすむべき宿をば思へ中空の旅も何かはくるしかるべき

144 恋 588
やすらはむ大かたの夜は明けぬともやみとかこへる霧にこもりて

95 冬 552 
やせわたる湊の風に月ふけて汐ひる方に千鳥鳴くなり

91 冬 501 夫木
宿かこふははその柴の色をさへしたひて染むる初時雨かな

102 冬 566
宿ごとにさびしからじとはげむべし煙こめたる小野の山里
「新潮」
山ごとにさびしからじとはげむべし煙こめたり小野の山里

72 秋 321
やどしもつ月の光の大澤はいかにいづこもひろ澤の池
「新潮」
宿しもつ月の光のををしさはいかにいへども広沢の池

松屋本山家集
宿の主や野辺のけぶりに成にける柴たく事を好み好みて

54 夏 1019
柳はら河風ふかぬかげならばあつくやせみの声にならまし

280 補 夫木
和らぐる光を花にかざされて名をあらはせるさきたまの宮

69 秋 433
山おろしに鹿の音たぐふ夕暮を物がなしとはいふにやあるらむ

33 春 156 万代
山おろしに乱れて花の散りけるを岩はなれたる瀧とみたれば

36 春 112
山おろしの木のもとうづむ花の雪は岩井にうくも氷とぞみる

91 冬 499 上人 心中
山おろしの月に木葉を吹きかけて光にまがふ影をみるかな

135 羇 746 上人 心中 物語
山おろす嵐の音のはげしきをいつならひける君がすみかぞ

83 秋 ○ 上人 宮河 新古今 物語(広)
山かげにすまぬ心のいかなれやをしまれて入る月もある世に

139 羇 1214 玄玉 夫木 (寂然法師歌)
山かぜに嶺のささぐりはらはらと庭に落ちしく大原の里


151 恋 655 上人
山がつの荒野をしめて住みそむるかた便なる恋もするかな

23 春 52 上人 心中 御裳濯河 新古今 御裳濯 物語
山がつの片岡かけてしむる庵のさかひにたてる玉のを柳

172 雑 1548 夫木
山がつの住みぬと見ゆるわたりかな冬にあせ行くしづはらの里

53 夏 ○ 六花集
山がつの折かけ垣のひまこえてとなりにも咲く夕がほの花

277 補 御裳濯河 雲葉
山川にひとりはなれて住む鴛鴦のこころしらるる波の上かな

51 夏 246
山川の岩にせかれてちる波をあられとぞみる夏の夜の月

43 夏 新潮欠 176a
山川の波にまがへるうの花を立かへりてや人は折るらむ


217 釈 873 夫木
山川のみなぎる水の音きけばせむる命ぞ思ひしらるる

215 釈 859
山くづす其力ねはかたくとも心だくみを添へこそはせめ

38 春 140 夫木
山ざくら枝きる風の名残なく花をさながらわが物にする

97 冬 567
山櫻おもひよそへてながむれば木ごとの花は雪まさりけり

34 春 ○ ▲ 上人追加 宮河
山櫻かざしの花に折そへてかぎりの春のいへづとにせむ

235 聞58 ▲ 上人追加 宮河
山ざくらかしらの花にをりそへてかぎりの春のいへづとにせむ

31 春 80
山ざくら霞の衣あつくきてこの春だにも風つつまなむ

35 春 1457
山櫻さきぬと聞きて見にゆかむ人をあらそふ心とどめて

236 聞69 
山ざくらさけばこそちるものは思へ花なき世にてなどなかりけむ

247 聞157 夫木
山ざくらちらぬまでこそ惜しみつれふもとへ流せたにがはの水

221 釈 1537
山櫻つぼみはじむる花の枝に春をばこめて霞むなりけり

97 冬 512 上人 心中
山ざくら初雪ふれば咲きにけり吉野はさとに冬ごもれども

35 春 1458
山ざくらほどなくみゆる匂ひかな盛を人にまたれまたれて

249 聞181
山ざくらまた来むとしの春のため枝をることはたれもあなかま

249 聞179 夫木
山ざくら吉野まうでの花しねをたづねむ人のかてにつつまむ

104 冬 新潮欠 575a
山里に家ゐをせずば見ましやは紅ふかき秋のこずゑを

196 雑 ○ 上人 新古今 自讃歌 物語
山里にうき世いとはむ友もがなくやしく過ぎし昔かたらむ

176 雑 737
山里に心はふかくすみながら柴の烟の立ち帰りにし

24 春 49
山ざとに誰を又こはよぶこ鳥ひとりのみこそ住まむと思ふに

172 雑 1549
山ざとの心の夢にまどひをれば吹きしらまかす風の音かな

63 秋 295 上人追加 夫木
山里の外面の岡の高き木にそぞろがましき秋の蝉かな

275 補 御裳濯河
山里の月まつ秋のゆふぐれは門田のかぜのおとのみぞする

46 夏 1448
山里の人もこずゑの松がうれにあはれにきゐる時鳥かな

89 秋 487 上人 心中 新勅撰 物語
山里は秋の末にぞ思ひしる悲しかりけりこがらしの風

238 聞94 上人 宮河 御裳濯
山ざとはあはれなりやと人とはば鹿の鳴くねを聞けとこたへむ

13 春 7
山里は霞みわたれるけしきにて空にや春の立つを知るら

102 冬 563 上人 心中
山里は時雨しころのさびしきにあられの音は漸まさりける

55 夏 252 上人 心中 続後撰
山里はそとものまくず葉をしげみうら吹きかへす秋を待つかな

167 雑 957 上人 心中 夫木
山ざとは谷のかけひのたえだえに水こひ鳥の声きこゆなり

197 雑 ○ 上人
山里は庭の木ずゑのおとまでも世をすさみたるけしきなるかな

197 雑 ○ 上人 新古今 物語(広)
山里は人来させじと思はねどとはるることぞうとくなり行く

236 聞71 
山里は雪ふかかりしをりよりはしげるむぐらぞ道はとめける

83 秋 ○ 上人
山里をとへかし人にあはれ見せむ露しく庭にすめる月かげ

32 春 144 上人 心中 玉葉
山寒み花咲くべくもなかりけりあまりかねても尋ね来にけり

117 羇 1103 新千載
山城のみづのみくさにつながれてこまものうげに見ゆるたびかな

128 羇 ○ 上人追加
山高み岩ねをしむる柴の戸にしばしもさらば世をのがればや

13 春 1064 物語(広)
山路こそ雪のした水とけざらめ都のそらは春めきぬらむ

34 春 ○ 上人
山路わけ花をたづねて日は暮れぬ宿かし鳥の声もかすみて

松屋本山家集
山の端に出でつる月を見つるかな何事をかはいひくらぶべき

270 残28
山の端にいづるも入るも秋の月うれしくつらき人のこころか

217 釈 870 
山のはにかくるる月をながむれば我も心の西に入るかな

135 羇 1085
山の端に月すむまじと知られにき心の空になると見しより

14 春 2
山の端の霞むけしきにしるきかな今朝よりやさは春のあけぼの

71 秋 329
山の端を出づる宵よりしるきかなこよひ知らする秋の夜の月

243 聞129 上人
山人に花さきぬやとたづぬればいさしら雲とこたへてぞゆく

189 雑 1034 上人
山人よ吉野の奧にしるべせよ花も尋ねむ又おもひあり

191 雑 1504 
山深く心はかねておくりてき身こそうきみを出でやらねども

197 雑 ○ 新古今
山深くさこそ心はかよふとも住まであはれは知らむ物かは

138 羇 1206
山ふかみ入りて見と見るものは皆あはれ催すけしきなるかな

138 羇 1202
山ふかみ岩にしたたる水とめむかつがつ落つるとちひろふ程

22 春 991 上人追加 玉葉
山ふかみ霞こめたる柴の庵にこととふものは谷のうぐひす

138 羇 1203 夫木
山ふかみけぢかき鳥のおとはせでもの恐しきふくろふの声

138 羇 1204
山ふかみこぐらき嶺の梢よりものものしくも渡る嵐か

138 羇 1201
山ふかみ苔の莚の上にゐてなに心なく啼くましらかな

138 羇 1198 玄玉
山ふかみさこそあらめときこえつつ音あはれなる谷川の水

189 雑 1238 夫木
山深み杖にすがりて入る人の心の底のはづかしきかな

138 羇 1207 上人追加 玉葉 夫木
山ふかみなるるかせぎのけぢかきに世に遠ざかる程ぞ知ら

138 羇 1205
山ふかみほた切るなりときこえつつ所にぎはふ斧の音かな

138 羇 1199 玄玉
山ふかみまきの葉わくる月影ははげしきもののすごきなりけり

138 羇 1200 夫木
山ふかみ窓のつれづれとふものは色づきそむるはじの立枝ぞ

41 春 166 上人 心中
山吹の花咲く里に成ぬればここにもゐでとおもほゆるかな

173 雑 1169
山吹の花咲く井出の里こそはやしうゐたりと思はざらなむ

140 羇 1150
山水のいつ出づべしと思はねば心細くてすむと知らずや

281 補 続拾遺 拾遺愚草 (藤原定家歌)
山水の深かれとてもかきやらず君がちぎりを結ぶばかりぞ

168 雑 995 夫木
山もなき海のおもてにたなびきて波の花にもまがふ白雲

217 釈 876 上人 心中 新古今 物語(広)
闇晴れて心の空にすむ月は西の山べやちかくなるらむ
 
「ゆ」

98 冬 535 上人 玉葉
雪埋むそのの呉竹折れふしてねぐら求むるむら雀かな

100 冬 1491
雪しのぐいほりのつまをさしそへて跡とめてこむ人をとどめむ

146 恋 596 
行きずりに一枝折りし梅が香の深くも袖にしみにけるかな

207 哀 809
行きちらむ今日の別を思ふにもさらに嘆はそふここちする

112 羇 1361
雪つみて木も分かず咲く花なればときはの松も見えぬなりけり

245 聞146 
ゆきてゆかず行かでもゆける身になれば外のさとりも外のことかは

16 春 975 上人追加 夫木
雪とくるしみみにしだくから崎の道行きにくきあしがらの山
「新潮」
雪解くるしみみに拉(しだ)くかざさきの道行きにくき足柄の山

30 春 61
雪とぢし谷の古巣を思ひ出でて花にむつるる鶯の聲

37 春 126
雪と見てかげに櫻の乱るれば花のかさ着る春の夜の月

243 聞124 夫木
雪の下の梅がさねなる衣の色をやどのつまにもぬはせてぞみる

101 冬 531
雪深くうづめてけりな君くやと紅葉の錦しきし山路を

99 冬 539
雪降れば野路も山路も埋もれて遠近しらぬ旅のそらかな

22 春 1065
雪分けて外山が谷のうぐひすは麓の里に春や告ぐらむ

236 聞70  
雪わけて外山をいでしここちして卯の花しげき小野のほそみち

134 羇 1057
雪分けて深き山路にこもりなば年かへりてや君にあふべき

219 釈 892
行末のためにとどめぬ法ならば何か我が身にたのみあらまし

80 秋 356 上人 心中
行末の月をば知らず過ぎ来つる秋まだかかる影はなかりき

171 雑 1188 
行末の名にや流れむ常よりも月すみわたる白川の水

42 春 173
行く春をとどめかねぬる夕暮はあけぼのよりもあはれなりけり

80 秋 353 上人 心中
ゆくへなく月に心のすみすみて果はいかにかならむとすらむ

246 聞148 
ゆたかなる法のころもの袖もなほつつみかぬべき我がおもひかな

147 恋 604
夕ぎりの隔なくこそ思ひつれかくれて君があはぬなりけり

63 秋 445
夕されや玉うごく露の小ざさ生に声まづならす蛬かな

167 雑 1052 上人追加 夫木 物語(広)
夕されやひはらの嶺を越え行けば凄くきこゆる山鳩の声

51 夏 249 上人 心中 夫木
夕立のはるれば月ぞやどりける玉ゆりすうる蓮のうき葉に

75 秋 396 上人 心中 夫木
夕露の玉しく小田の稲むしろかへす穗末に月ぞ宿れる

60 秋 264 上人 心中
ゆふ露をはらへば袖に玉消えて道分けかぬる小野の萩原

148 恋 620 上人 心中 夫木
弓はりの月にはつれてみし影のやさしかりしはいつか忘れむ

217 釈 871 上人 心中
夢さむるかねのひびきにうち添へて十度の御名をとなへつるかな

143 恋 583
夢とのみ思ひなさるる現こそあひみることのかひなかりけれ

230 聞28 夫木
夢の内にさむるさとりのありければ苦しみなしと説きけるものを

154 恋 700
夢をなど夜ごろたのまで過ぎきけむさらで逢ふべき君ならなくに

「よ」

66 秋 420 上人 心中 新古今 御裳濯 物語(広)
よこ雲の風にわかるる東明に山とびこゆる初雁のこゑ

248 聞163 上人追加 夫木
余吾の湖の君をみしまにひく網のめにもかからぬあぢのむらまけ

258 聞237
よしあしの人のことをばいひながらわが上しらぬ世にこそありけれ

133 羇 1120 
よしさらば幾重ともなく山こえてやがても人に隔てられなむ

155 恋 ○ 上人
よしさらば誰かは世にもながらへむと思ふ折にぞ人はうからぬ

149 恋 634 上人 夫木
よしさらば涙の池に身をなして心のままに月をやどさむ

180 雑 1352
よしさらば光なくとも玉と云ひて言葉のちりは君みがかなむ

220 釈 900
よしなしなあらそふことをたてにして怒をのみも結ぶ心は

226 聞4 夫木
吉野山うれしかりけるしるべかなさらでは奧の花を見ましや

250 聞187 
吉野山おくをもわれぞ知りぬべき花ゆゑふかく入りならひつつ

272 補 上人 心中
吉野山かぜこすくきにさく花はいつさかりともなくや散るらむ

244 聞135 
吉野山雲と見えつる花なればちるも雪にはまがふなりけり

244 聞136
よしのやま雲もかからぬ高嶺かなさこそは花のねにかへりなめ

30 春 62 上人 心中 夫木
よしの山雲をはかりに尋ね入りて心にかけし花を見るかな

239 聞102
吉野山こずゑのそらのかすむにて櫻のえだも春知りぬらむ

30 春 66 上人 心中 続後拾遺 玄玉
吉野山梢の花を見し日より心は身にも添はずなりにき

33 春 ○ ▲ 御裳濯河 新古今 玄玉 御裳濯 物語(広)
吉野山こぞのしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねむ

258 聞240 ▲ 御裳濯河 新古今 玄玉 御裳濯 物語(広)
吉野山こぞのしをりの道かへてまだ見ぬかたの花をたづねむ   

33 春 ○ 上人 新古今 御裳濯 自讃歌 物語(広)
吉野山さくらが枝に雪ちりて花おそげなる年にもあるかな

37 春 132
よしの山櫻にまがふ白雲の散りなん後は晴れずもあらなむ

35 春 1454
よしの山高嶺の櫻さきそめばかからんものか花の薄雲

36 春 110 上人 心中
吉野山谷へたなびく白雲は嶺の櫻の散るにやあるらむ

35 春 1453
吉野山花の散りにし木のもとにとめし心は我を待つらむ

36 春 115 夫木
よしの山花ふき具して峰こゆる嵐は雲とよそに見ゆらむ

34 春 ○ 上人 御裳濯
よしの山花をのどかに見ましやはうきがうれしき我が身なりけり

32 春 143 上人 心中 新後撰
よしの山人に心をつけがほに花よりさきにかかる白雲

35 春 142 上人 心中
吉野山一むらみゆる白雲は咲きおくれたる櫻なるべし

102 冬 565 上人 心中 宮河 続千載
よしの山麓にふらぬ雪ならば花かと見てや尋ね入らまし

35 春 1461
吉野山ふもとの瀧にながす花や嶺につもりし雪の下水

28 春 96
よしの山ほき路づたひに尋ね入りて花みし春は一むかしかも

岩波欠 新潮111 
吉野山峯なる花はいづかたの谷にか分きて散りつもるらん

32 春 1036 上人 心中 御裳濯河 新古今 玄玉 
         御裳濯 自讃歌 物語(広)
吉野山やがて出でじと思ふ身を花ちりなばと人や待つらむ

111 羇 1355 上人 心中 物語
よしや君昔の玉の床とてもかからむ後は何にかはせむ

210 哀 839 上人 心中 続後撰
よそに思ふ別ならねば誰をかは身より外にはとふべかりける

260 聞249
よそに聞くはおぼつかなきにほととぎすわが軒にさく橘に鳴け

274 補 夫木
よそふなる月のみかほを宿す池に所を得ても咲くはちすかな

162 恋 1325 夫木
よだけだつ袖にたぐへて忍ぶかな袂の瀧におつる涙を

47 夏 721
世のうきにひかるる人はあやめ草心のねなき心地こそすれ

46 夏 ○ 上人
世のうきをおもひし知ればやすきねをあまりこめたる郭公かな

188 雑 722
世のうきを昔がたりになしはてて花橘におもひ出でばや

83 秋 ○ 上人 物語
世のうさに一かたならずうかれゆく心さだめよ秋の夜の月

185 雑 ○ 上人
夜の鶴の都のうちを出でであれなこのおもひにはまどはざらまし

177 雑 742 上人
世の中に心あり明の人はみなかくて闇にはまよはぬものを

180 雑 720
世の中にすまぬもよしや秋の月濁れる水のたたふ盛りに

214 哀 1522
世の中になくなる人を聞くたびに思ひは知るをおろかなる身に

213 哀 ○ 上人
世の中のうきもうからず思ひとけば浅茅にむすぶ露の白玉

77 秋 401 上人 心中 宮河 玉葉 御裳濯
世の中のうきをも知らですむ月のかげは我が身の心地こそすれ

77 秋 402
よの中はくもりはてぬる月なれやさりともと見し影も待たれず

261 聞262 夫木
世の中をあめのみかげのうちになせあらしほあみて八百合の~

107 羇 752 上人 新古今 物語
世の中をいとふまでこそかたからめかりのやどりを惜しむ君かな

38 春 ○ 上人 宮河 新古今 玄玉 物語(広)
世の中をおもへばなべて散る花の我身をさてもいづちかもせむ

192 雑 1417
世の中を捨てて捨てえぬ心地して都はなれぬ我が身なりけり

166 雑 726 上人 新後拾遺
世の中をそむきはてぬと云ひおかむ思ひしるべき人はなくとも

182 雑 1230 物語
世の中をそむく便やなからましうき折ふしに君があはずば

192 雑 759 上人 心中 物語
世の中を夢と見る見るはかなくも猶おどろかぬ我が心かな

73 秋 391
宵のまの露にしをれてをみなへし有明の月の影にたはるる

53 夏 1017 夫木
蓬生のさることなれや庭の面にからすあふぎのなぞしげるらむ

79 秋 341
蓬分けて荒れたる宿の月見ればむかし住みけむ人ぞこひしき

247 聞158  
夜もすがら明石の浦のなみのうへにかげたたたみおく秋の夜の月

102 冬 561 上人 心中 夫木
よもすがら嵐の山は風さえて大井のよどに氷をぞしく

159 恋 1287
夜もすがら恨を袖にたたふれば枕に波の音ぞきこゆる

273 補 雲葉
夜もすがらささで人待つ槙の戸をなぞしもたたく水鷄なるらむ

64 秋 454 上人 心中
よもすがら袂に虫の音をかけてはらひわづらふ袖の白露

80 秋 351 上人 心中 新古今 物語(広」
よもすがら月こそ袖に宿りけれむかしの秋を思ひ出づれば

175 雑 732 上人 心中 新後撰 玉葉 月詣 物語
               (中院右大臣源雅定歌)
よもすがら月を詠めて契り置きし其むつごとに闇は晴れにし

150 恋 640
よもすがら月を見がほにもてなして心のやみにまよふ頃かな

68 秋 431 
よもすがら妻こひかねて鳴く鹿の涙や野辺のつゆとなるらむ

233 聞45 御裳濯河
よもすがら鳥のねおもふ袖のうへに雪はつもらで雨しをれけり

90 冬 491 
よもすがらをしげなく吹く嵐かなわざと時雨の染むる紅葉を

169 雑 1147
よよふとも竹の柱の一筋にたてたるふしはかはらざらなむ

149 恋 636
世々ふとも忘れがたみの思ひ出はたもとに月のやどるばかりぞ

54 夏 ○ 新古今
よられつる野もせの草のかげろひて凉しくくもる夕立の空

237 聞76
よる鳴くに思ひ知られぬほととぎすかたらひてけり葛城の~

46 夏 1471
よるの床をなきうかされむ時鳥物思ふ袖をとひにきたらば

142 賀 1179 夫木
萬代のためしにひかむ亀山の裾野の原にしげる小松を

229 聞21 夫木
よろづ世を衣のいはにたたみあげてありがたくてぞ法は聞きける

279 補 宮河 夫木
よろづ代を山田の原のあや杉に風しきたててこゑよばふなり

197 雑 ○ 上人
世を出でて渓に住みけるうれしさは古巣に残る鶯のこゑ

19 春 724 ▲ 上人追加 新古今 物語
世を厭ふ名をだにもさはとどめ置きて数ならぬ身の思出にせむ

197 雑 ○ ▲ 上人追加 新古今 物語
世をいとふ名をだにもさはとどめおきて数ならぬ身の思ひ出にせむ

282 補 御裳濯河
世をうしと思ひけるにぞなりぬべき吉野の奧へ深く入りなば

69 秋 428
夜をこめて竹のあみ戸に立つ霧の晴ればやがてや明けむとすらむ

松屋本山家集
夜をさむみ聲こそしけく聞ゆなれ河せの千鳥友具してけり

196 雑 ○ 上人 詞花 物語
世をすつる人はまことにすつるかは捨てぬ人こそ捨つるなりけれ

180 雑 1240 上人 心中 続拾遺 長秋詠藻 (藤原俊成歌)
世を捨てて入りにし道の言の葉ぞあはれも深き色は見えける


174 雑 754
世をすてて谷底に住む人みよと嶺の木のまを出づる月影

177 雑 739 物語
世を捨てぬ心のうちに闇こめて迷はむことは君ひとりかは

177 雑 743 上人 (作者不詳歌)
世をそむく心ばかりは有明のつきせぬ闇は君にはるけむ


67 秋 437 上人 心中 夫木
夜を残す寝ざめに聞くぞあはれなる夢野の鹿もかくや鳴きけむ

「わ」

237 聞83 上人
わがおもふ妹がりゆきてほととぎす寝覚のそでのあはれつたへよ

205 哀 794 (三河内侍歌)
我が君の光かくれし夕べよりやみにぞ迷ふ月はすめども

248 聞164 上人追加 夫木
我が恋はほそ谷川の水なれやすゑにいはわるおときこゆなり

156 恋 ○ ▲ 残集12 上人追加 夫木
我が恋はみしまが沖にこぎ出でてなごろわづらふ海人のつり舟

264 残12 ▲ 残集12 上人追加 夫木
吾が恋は三島が沖にこぎいでてなごろわづらふあまの釣舟     

282 補 宮河
わが心さこそ都にうとくならめ里のあまりにながゐしてけり

230 聞25 夫木
わが心さやけきかげにすむものをある夜の月をひとつみるだに

148 恋 608
我が袖の涙かかるとぬれであれなうらやましきは池のをし鳥

277 補 続後撰
我袖を田子のもすそにくらべばやいづれかいたく濡れはまさると

172 雑 1546
我がそのの岡べに立てる一つ松をともと見つつも老にけるかな

164 恋 1162
我がためにつらき心をみな月のてづからやがてはらへすてなむ

18 春 23 上人 心中 宮河
若菜おふる春の野守に我なりてうき世を人につみ知らせばや

157 恋 1253
わが嘆く心のうちのくるしさを何にたとへて君に知られむ

17 春 17 上人 心中
わか菜つむ今日に初子のあひぬれば松にや人の心ひくらむ

18 春 21 宮河 御裳濯
わか菜つむ野辺の霞ぞあはれなる昔を遠く隔つと思へば

163 恋 1339 
我が涙うたがはれぬる心かな故なく袖のしをるべきかは
「新潮」
われながら疑はれぬる心かなゆゑなく袖をしぼるべきかは

147 恋 605 
わが涙しぐれの雨にたぐへばや紅葉の色の袖にまがへる

281 補 新勅撰 長秋詠藻
和歌の浦に汐木かさぬる契りをばかけるたくもの跡にてぞみる

142 賀 1181 上人 心中 御裳濯河 夫木 
若葉さす平野の松はさらにまた枝にや千代の数をそふらむ

89 秋 486 上人追加 夫木
わがものと秋の梢を思ふかな小倉の里に家ゐせしより

98 冬 532 物語
わがやどに庭より外の道もがな訪ひこむ人の跡つけで見む

43 夏 182 上人
わが宿に花たちばなをうゑてこそ山時鳥待つべかりけれ

191 雑 716 宮河
我が宿は山のあなたにあるものを何とうき世を知らぬ心ぞ

65 秋 395 
我が世とやふけ行く月を思ふらむ声もやすめぬ蛬かな

173 雑 1093
わかるともなるる思ひをかさねまし過ぎにしかたの今宵なりせば

210 哀 835 (寂然法師歌)
別れにし人のふたたび跡をみば恨みやせましとはぬ心を

14 春 9 上人 心中
わきて今日あふさか山の霞めるは立ちおくれたる春や越ゆらむ

251 聞209 
わきてなほ銅の湯のまうけこそこころに入りて身をあらふらめ

26 春 94 上人 心中 続古今 物語(広)
わきて見む老木は花もあはれなり今いくたびか春にあふべき

228 聞17 夫木
わけ入りし雪のみ山のつもりにはいちじるかりしありあけの月

166 雑 956
わけ入りて誰かは人の尋ぬべき岩かげ草のしげる山路を

210 哀 838
分けいりて蓬が露をこぼさじと思ふも人をとふにあらずや

245 聞142
わけ入ればやがてさとりぞ現はるる月のかげしく雪のしら山

93 冬 507
分けかねし袖に露をばとめ置きて霜に朽ちぬる真野の萩原

121 羇 918
分けきつるをざさの露にそぼちつつほしぞわづらふ墨染の袖

58 秋 271
分けて出づる庭しもやがて野辺なれば萩のさかりをわが物にみる

66 秋 444 上人 心中 玉葉
分けて入る袖にあはれをかけよとて露けき庭に虫さへぞ鳴く

123 羇 1115 上人追加 夫木 物語(広)
分けて行く色のみならず梢さへちくさのたけは心そみけり

134 羇 1058 (平時忠歌)
分けて行く山路の雪は深くともとく立ち帰れ年にたぐへて


220 釈 895
わしの山上くらからぬ嶺なればあたりをはらふ有明の月

283 補 御裳濯河
鷲の山思ひやるこそ遠けれど心にすむはありあけの月

219 釈 ○ ▲ 続拾遺
鷲の山くもる心のなかりせば誰も見るべき有明の月

283 補 ▲ 続拾遺
わしの山くもる心のなかりせば誰もみるべき有明の月    
 
219 釈 891
鷲の山誰かは月を見ざるべき心にかかる雲しなければ

219 釈 888 上人 心中 千載 物語
わしの山月を入りぬと見る人はくらきにまよふ心なりけり

159 恋 1278 
忘られむことをばかねて思ひにきなどおどろかす涙なるらむ

283 補 一品経和歌懐紙
わたつみの深き誓ひのたのみあれば彼の岸べにも渡らざらめや


109 羇 1102 上人 心中 宮河 玉葉
わたの原波にも月はかくれけり都の山を何いとひけむ

109 羇 1101 上人追加 千載 月詣
わたの原はるかに波を隔てきて都に出でし月をみるかな

62 秋 304 
わづかなる庭の小草の白露をもとめて宿る秋の夜の月

75 秋 980 上人 心中 夫木
わづらはで月にはよるも通ひけり隣へつたふあぜの細道

83 秋 ○ 上人 
わび人のすむ山里のとがならむ曇らじものを秋の夜の月

32 春 1035 上人 心中 万代
わび人の涙に似たる櫻かな風身にしめばまづこぼれつつ

159 恋 1282 
わりなしな袖に嘆きのみつままに命をのみもいとふ心は

161 恋 1319 上人
わりなしやいつを思ひの果にして月日を送るわが身なるらむ

94 冬 571 物語
わりなしやこほるかけひの水ゆゑに思ひ捨ててし春の待たるる

155 恋 706
わりなしやさこそもの思ふ袖ならめ秋にあひてもおける露かな

156 恋 1244 上人
わりなしや我も人目をつつむまにしひてもいはぬ心づくしは

163 恋 1336
我からと藻にすむ虫の名にしおへば人をば更にうらみやはする

259 聞247
我ぞまづ初音きかまし時鳥まつこころをも思ひしられば

160 恋 1296 
我つらきことをやなさむおのづから人めを思ふ心ありやと

271 補 上人
われ鳴きてしか秋なりと思ひけり春をもさてやうぐひすの声

200 哀 926
我なくば此さとびとや秋ふかき露を袂にかけてしのばむ

189 雑 1039 夫木
我なれや風を煩らふしの竹はおきふし物の心ぼそくて

275 補 上人 心中 
われなれや松のこずゑに月かけてみどりのいろに霜ふりにけり

160 恋 1305 夫木
我のみぞ我が心をばいとほしむあはれむ人のなきにつけても

160 恋 1302 万代
我ばかりもの思ふ人や又もあると唐土までも尋ねてしがな

165 恋 1501 
我はただかへさでを着むさ夜衣きてねしことを思ひ出でつつ

248 聞170 上人追加 夫木
我もさぞ庭のいさごの土遊びさて生ひたてる身にこそありけれ

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139 羇 1214 玄玉 夫木 (寂然法師歌)
山かぜに嶺のささぐりはらはらと庭に落ちしく大原の里


281 補 続拾遺 拾遺愚草 (藤原定家歌)
山水の深かれとてもかきやらず君がちぎりを結ぶばかりぞ


175 雑 732 上人 心中 新後撰 玉葉 月詣 物語
               (中院右大臣源雅定歌)
よもすがら月を詠めて契り置きし其むつごとに闇は晴れにし


180 雑 1240 上人 心中 続拾遺 長秋詠藻 (藤原俊成歌)
世を捨てて入りにし道の言の葉ぞあはれも深き色は見えける


177 雑 743 上人 (作者不詳歌)
世をそむく心ばかりは有明のつきせぬ闇は君にはるけむ


205 哀 794 (三河内侍歌)
我が君の光かくれし夕べよりやみにぞ迷ふ月はすめども


210 哀 835 (寂然法師歌)
別れにし人のふたたび跡をみば恨みやせましとはぬ心を


134 羇 1058 (平時忠歌)
分けて行く山路の雪は深くともとく立ち帰れ年にたぐへて


283 補 一品経和歌懐紙
わたつみの深き誓ひのたのみあれば彼の岸べにも渡らざらめや

43 夏 新潮欠 176a
山川の波にまがへるうの花を立かへりてや人は折るらむ

104 冬 新潮欠 575a
山里に家ゐをせずば見ましやは紅ふかき秋のこずゑを

岩波欠 新潮111 
吉野山峯なる花はいづかたの谷にか分きて散りつもるらん


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