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山家集索引
あ〜お | か〜こ | さ〜そ | た〜と | な〜の | は〜ほ | ま〜も | や〜わ |
「ま」
61 秋 275
籬あれて薄ならねどかるかやも繁き野辺とはなりけるものを
「籬」の読みは岩波は(かき)、新潮は(まがき)。
30 春 65
まがふ色に花咲きぬればよしの山春は晴れせぬ嶺の白雲
112 羇 1363
まがふ色は梅とのみ見て過ぎ行くに雪の花には香ぞなかりける
42 夏 177
まがふべき月なきころの卯花はよるさへさらす布かとぞ見る
180 雑 1351 (院少納言の局歌)
巻ごとに玉の声せし玉章のたぐひは又もありけるものを
95 秋 ○ 上人
槙の屋の時雨の音を聞く袖に月ももり来てやどりぬるかな
137 羇 1049 夫木
まぎれつる窓の嵐の声とめてふくると告ぐる水の音かな
80 秋 357 新後拾遺 万代 雲葉
まこととも誰か思はむひとり見て後に今宵の月をかたらば
166 雑 973 上人追加 夫木
まさきわる飛騨のたくみや出でぬらむ村雨過ぎぬかさどりの山
「新潮」
まさき割るひなの匠や出でぬらん村雨過ぐる笠取の山
229 聞20 夫木
ましてましてさとる思ひは外ならじわが嘆きをばわれ知るなれば
39 春 167 上人 心中 宮河 風雅 月詣 御裳濯
ま菅おふる山田に水をまかすれば嬉しがほにも鳴く蛙かな
139 羇 1215 (寂然法師歌)
ますらをが爪(つま)木に通草(あけび)さしそへて暮るれば帰る大原の里
86 秋 469
ませなくば何をしるしに思はまし月もまがよふ白菊の花
24 春 1026
ませにさく花にむつれて飛ぶ蝶の羨しきもはかなかりけり
54 春 250
まだきより身にしむ風のけしきかな秋さきだつるみ山ベの里
234 聞52
待たでただ尋ねを入らむ山ざくらさてこそ花に思ひしられめ
170 雑 939 上人 心中 宮河 新古今
またれつる入相のかねの音すなり明日もやあらば聞かむとすらむ
272 補 上人 御裳濯河 新古今 玄玉 御裳濯 物語(広)
待たれつる吉野のさくらさきにけりこころを散らす春の山かぜ
79 秋 338 上人 心中
待ち出でてくまなき宵の月みれば雲ぞ心にまづかかりける
273 補 上人
待ちかねて寢たらばいかに憂からましやま杜宇夜を残しけり
159 恋 1284
待ちかねてひとりはふせど敷妙の枕ならぶるあらましぞする
158 恋 1267
待ちかねて夢に見ゆやとまどろめば寢覚すすむる荻の上風
119 羇 98 上人 心中 夫木 物語(広)
待ちきつるやかみの櫻咲きにけりあらくおろすなみすの山風
56 秋 262
待ちつけて嬉しかるらむたなばたの心のうちぞ空に知らるる
210 哀 834 (寂然法師歌)
待ちわびぬおくれさきだつ哀をも君ならでさは誰かとふべき
170 雑 940 上人 心中
松風の音あはれなる山里にさびしさそふる日ぐらしの声
54 夏 251
松風の音のみなにか石ばしる水にも秋はありけるものを
170 雑 1090
松風はいつもときはに身にしめどわきて寂しき夕ぐれの空
119 羇 1077 上人 心中 玉葉 夫木
松がねの岩田の岸の夕すずみ君があれなとおもほゆるかな
45 夏 189 上人追加 続千載
まつことは初音までかと思ひしに聞きふるされぬ郭公かな
73 秋 ○ 上人追加 (西行歌ではないとみられています)
松島や雄島の磯も何ならずただきさがたの秋の夜の月
89 秋 ○ 御裳濯河 新古今 御裳濯 玄玉
松にはふまさきのかづらちりぬなり外山の秋は風すさぶらむ
25 春 56
まつによりちらぬ心を山ざくら咲きなば花の思ひ知らなむ
111 羇 1360
松の下は雪ふる折の色なれやみな白妙に見ゆる山路に
237 聞77
待つはなほたのみありけりほととぎす聞くともなしにあくるしののめ
44 夏 185
まつ人の心を知らば郭公たのもしくてや夜をあかさまし
263 残5
待つやどに来つつかたらへ杜鵑身をうのはなの垣根きらはで
183 雑 1236 (讃岐の院の女房歌)
松山の涙は海に深くなりてはちすの池に入れよとぞ思ふ
110 羇 1353 上人 心中 宮河 物語
松山の波に流れてこし舟のやがてむなしくなりにけるかな
111 羇 1354
まつ山の波のけしきはかはらじをかたなく君はなりましにけり
217 釈 875
まどひきてさとりうべくもなかりつる心を知るは心なりけり
216 釈 867
まどひつつ過ぎけるかたの悔しさになくなく身をぞけふは恨むる
221 釈 1533
まどひてし心を誰も忘れつつひかへらるなることのうきかな
167 雑 1433
みな鶴は澤の氷のかがみにて千歳の影をもてやなすらむ
「新潮」
まな鶴は沢のこほりの鏡にて千歳のかげをもてやなすらん
115 羇 1374
まなべよりしはくへ通ふあき人はつみをかひにて渡るなりけり
182 雑 1233
幻の夢をうつつに見る人はめもあはせでや夜をあかすらむ
「み」
202 哀 781 上人 玉葉
みがかれし玉の栖を露ふかき野辺にうつして見るぞ悲しき
275 補 上人
三笠山月さしのぼるかげさえて鹿なきそむる春日野のはら
262 残1 ▲ 夫木
三笠山春をおとにて知らせけりこほりをたたくうぐひすの瀧
15 春 ○ ▲ 夫木
三笠山春はこゑにて知られけり氷をたたく鶯のたき
213 哀 1519
みぎは近く引きよせらるる大網にいくせの物の命こもれり
189 雑 1023 上人 心中
みくまのの浜ゆふ生ふる浦さびて人なみなみに年ぞかさなる
225 神 1529
三熊野のむなしきことはあらじかしむしたれいたのはこぶ歩みは
225 神 1528
みこしをさの声さきだてて降りますをとかしこまる神の宮人
40 春 168
みさびゐて月も宿らぬ濁江にわれすまむとて蛙鳴くなり
72 秋 320 夫木
みさびゐぬ池のおもての清ければ宿れる月もめやすかりけり
157 恋 1251
みさをなる涙なりせばから衣かけても人に知られましやは
107 羇 412 上人 心中
見しままにすがたも影もかはらねば月ぞ都のかたみなりける
55 夏 253
みそぎしてぬさとりながす河の瀬にやがて秋めく風ぞ凉しき
225 神 1525
みたらしにわかなすすぎて宮人のま手にささげてみと開くめる
224 神 1222
みたらしの流はいつもかはらぬを末にしなればあさましの世や
58 秋 269
乱れ咲く野辺の萩原分け暮れて露にも袖を染めてけるかな
206 哀 805 上人 心中 千載 月詣 寂然集 (寂然法師歌)
乱れずと終り聞くこそ嬉しけれさても別はなぐさまねども
202 哀 783 上人 宮河 玉葉 物語
道かはるみゆきかなしき今宵かな限のたびとみるにつけても
277 補 上人
道とぢて人とはずなる山ざとのあはれは雪にうづもれにけり
54 夏 ○ 新古今 御裳濯 玄玉 物語
道の辺の清水ながるる柳蔭しばしとてこそ立ちとまりつれ
92 冬 494
道もなし宿は木の葉に埋もれぬまだきせさする冬ごもりかな
184 雑 1136 (讃岐の院の女房歌)
水茎のかき流すべきかたぞなき心のうちは汲みて知らなむ
257 聞232
みつせ川みつなき人はこころかな沈む瀬にまたわたりかかれる
49 夏 207 宮河
水たたふ入江の真菰かりかねてむな手にすつる五月雨の頃
72 秋 323
水なくて氷りぞしたるかつまたの池あらたむる秋の夜の月
50 夏 225 上人 上人追加 心中 夫木
水なしと聞きてふりにしかつまたの池あらたむる五月雨の頃
53 夏 231
水の音にあつさ忘るるまとゐかな梢のせみの声もまぎれて
170 雑 944
水の音はさびしき庵の友なれや嶺の嵐のたえまたえまに
139 羇 1212 上人追加 夫木 (寂然法師歌)
水の音は枕に落つるここちしてねざめがちなる大原の里
78 秋 313 上人 心中
水の面にやどる月さへ入りぬるは浪の底にも山やあるらむ
173 雑 1011 上人追加 夫木
む(み)つのくのおくゆかしくぞ思ほゆるつぼのいしぶみそとの浜風
213 哀 1518
水ひたる池にうるほふしたたりを命に頼むいろくづやたれ
50 夏 219
水わくる難波ほり江のなかりせばいかにかせまし五月雨のころ
100 冬 1430
緑なる松にかさなる白雪は柳のきぬを山におほへる
244 聞137 夫木
水上に花のゆふだちふりにけり吉野の川のなみのまされる
94 冬 555 上人
水上に水や氷をむすぶらんくるとも見えぬ瀧の白糸
49 夏 216 夫木
水無瀬河をちのかよひぢ水みちて船わたりする五月雨の頃
50 夏 221
みな底にしかれにけりなさみだれて水の真菰をかりにきたれば
23 春 55
水底にふかきみどりの色見えて風に浪よる河やなぎかな
167 雑 1433
みな鶴は澤の氷のかがみにて千歳の影をもてやなすらむ
「新潮」
まな鶴は沢のこほりの鏡にて千歳のかげをもてやなすらん
100 冬 1486
みなと川苫に雪ふく友舟はむやひつつこそ夜をあかしけれ
48 夏 206
みな人の心のうきはあやめ草西に思ひのひかぬなりけり
103 冬 983
身にしみし荻の音にはかはれども柴吹く風もあはれなりけり
「新潮」
身にしみし荻の音にはかはれどもしぶく風こそげにはもの憂き
79 秋 342 上人 心中 御裳濯河 玄玉
身にしみてあはれ知らする風よりも月にぞ秋の色は見えける
221 釈 1538
身につきてもゆる思ひの消えましや凉しき風のあふがざりせば
123 羇 1118 上人追加 夫木 物語(広)
身につもることばの罪もあらはれて心すみぬるみかさねの瀧
169 雑 1088
身にもしみものあらげなるけしきさへあはれをせむる風の音かな
166 雑 1051
嶺おろす松のあらしの音に又ひびきをそふる入相の鐘
33 春 155 上人 心中
嶺にちる花は谷なる木にぞ咲くいたくいとはじ春の山風
121 羇 1105
嶺の上も同じ月こそてらすらめ所がらなるあはれなるべし
松屋本山家集
峰の花散るをさながら宿に見て白雲見よと人にいはばや
170 雑 936
嶺わたる嵐はげしき山ざとにそへてきこゆる瀧川の水
152 恋 668 上人 心中 玉葉 万代
身のうさの思ひ知らるることわりにおさへられぬは涙なりけり
188 雑 910 上人
身のうさの隠家にせむ山里は心ありてぞすむべかりける
188 雑 908 上人 新古今 物語
身のうさを思ひ知らでややみなましそむく習のなき世なりせば
211 哀 842
御法をば言葉なけれど説くと聞けば深き哀はいはでこそ思へ
52 夏 236 上人 心中 万代 夫木
みまくさに原の小薄しがふとてふしどあせぬとしか思ふらむ
225 神 1532
みもすその岸の岩根によをこめてかためたてたる宮柱かな
130 羇 1127
都出でてあふ坂越えし折までは心かすめし白川の関
239 聞96 上人 御裳濯河 新古今 御裳濯
都うとくなりにけりとも見ゆるかなむぐらしげれる道のけしきに
128 羇 1133
都近き小野大原を思ひ出づる柴の煙のあはれなるかな
75 秋 418 上人 心中 新古今 物語
都にて月をあはれと思ひしは数より外のすさびなりけり
125 羇 1094
都にも旅なる月の影をこそおなじ雲井の空に見るらめ
124 羇 ○ ▲ 上人追加 新古今 物語
宮ばしらしたつ岩ねにしきたててつゆもくもらぬ日の御影かな
261 聞260 ▲ 上人追加 新古今 物語
宮ばしら下つ岩根にしきたててつゆもくもらぬ日のみかげかな
27 春 101 上人 心中 物語(広)
見る人に花も昔を思ひ出でて恋しかるべし雨にしをるる
199 雑 1395
見るもうきは鵜繩ににぐるいろくづをのがらかさでもしたむもち網
251 聞198
見るも憂しいかにかすべき我がこころかかる報いの罪やありける
196 雑 ○ 上人
見ればげに心もそれになりぞ行く枯野の薄有明の月
23 春 54 上人 心中 新拾遺
見渡せばさほの川原にくりかけて風によらるる青柳の糸
153 恋 680 上人 心中 宮河 新古今 物語
身をしれば人のとがとは思はぬに恨みがほにもぬるる袖かな
160 恋 1293
身をもいとひ人のつらさも嘆かれて思ひ数ある頃にもあるかな
82 秋 968 夫木
みをよどむ天の川岸波かけて月をば見るやさくさみの神
31 春 74
身を分けて見ぬ梢なくつくさばやよろづの山の花の盛を
「む」
280 補 雲葉
むかしおもふ心ありてぞながめつる隅田河原のありあけの月
239 聞100 上人 宮河 新古今 玄玉 物語
昔おもふにはにうき木をつみおきて見し世にも似ぬ年の暮かな
248 聞166
むかしかな炒粉かけとかせしことよあこめの袖にたまだすきして
248 聞168
昔せしかくれ遊びになりなばやかたすみもとによりふせりつつ
109 羇 1096 上人 心中 続後撰 夫木
昔見し野中の清水かはらねば我が影をもや思ひ出づらむ
117 羇 1145
昔みし松は老木になりにけり我がとしへたる程も知られて
196 雑 ○ 上人 新古今 物語(広)
昔見し庭の小松に年ふりてあらしの音をこずゑにぞ聞く
「西行上人集」
昔見し宿の小松に年ふりて嵐の音を木末にぞ聞く
155 恋 ○ 上人 心中
昔よりもの思ふ人やなからまし心にかなふ嘆なりせば
152 恋 667 上人 心中 夫木
むかはしは我がなげきのむくいにて誰ゆゑ君がものをおもはむ
「新潮」
むかはらばわれが嘆きの報いにて誰ゆゑ君がものを思はん
247 聞162
むぐら枯れて竹の戸あくる山里にまた径とづる雪つもるめり
238 聞90
むぐらしくいほりの庭の夕露をたまにもてなす秋の夜の月
139 羇 1216 玄玉 夫木 (寂然法師歌)
むぐらはふ門は木の葉に埋もれて人もさしこぬ大原の里
64 秋 458 上人 心中
虫のねにさのみぬるべき袂かはあやしや心物思ふらし
「新潮」
虫の音に露けかるべき袂かはあやしや心もの思ふべし
79 秋 343
虫の音もかれ行く野辺の草の原にあはれをそへてすめる月影
64 秋 449
虫の音をよそに思ひてあかさねば袂も露は野辺にかはらじ
64 秋 456
虫の音を弱り行くかと聞くからに心に秋の日数をぞふる
51 夏 243
むすびあぐる泉にすめる月かげは手にもとられぬ鏡なりけり
51 夏 244 上人 心中
むすぶ手に涼しきかげをそふるかな清水にやどる夏の夜の月
281 補 風雅 拾遺愚草
結び流す末をこころにたたふれば深く見ゆるを山がはの水
173 雑 1011 上人追加 夫木
む(み)つのくのおくゆかしくぞ思ほゆるつぼのいしぶみそとの浜風
163 恋 1337
むなしくてやみぬべきかな空蝉の此身からにて思ふなげきは
237 聞75
むま玉のよる鳴く鳥はなきものをまたたぐひなき山ほととぎす
223 神 1220 上人追加
紫の色なきころの野辺なれやかたまほりにてかけぬ葵は
142 賀 1173
むれ立ちて雲井にたづの声すなり君が千年や空にみゆらむ
231 聞35
無漏を出でし誓の舟やとどまりてのりなきをりの人を渡さむ
「め」
77 秋 ○ 上人 物語(広)
めぐりあはで雲のよそにはなりぬとも月になり行くむつび忘るな
113 羇 1370
めぐりあはむことの契ぞたのもしききびしき山の誓見るにも
224 神 1523
めづらしなあさくら山の雲井よりしたひ出でたるあか星の影
182 雑 1235 (讃岐の院の女房歌)
目のまへにかはりはてにし世のうきに涙を君もながしけるかな
「も」
282 補 夫木
萠えいづる峯のさ蕨なき人のかたみにつみてみるもはかなし
24 春 31 上人 心中 夫木
もえ出づる若菜あさるときこゆなりきぎす鳴く野の春の曙
183 雑 1163 上人 心中 夫木 (崇徳院歌)
最上川つなでひくともいな舟のしばしがほどはいかりおろさむ
18 春 12
もしほやく浦のあたりは立ちのかで烟あらそふ春霞かな
150 恋 649 上人追加 新古今 物語
もの思ひてながむる頃の月の色にいかばかりなるあはれそふらむ
270 残30
物思ひて結ぶたすきのおひめよりほどけやすなる君ならなくに
154 恋 699
物思ひはまだ夕ぐれのままなるに明けぬとつぐるには鳥の声
150 恋 645
もの思ふ心の隈をのごひすててくもらぬ月を見るよしもがな
149 恋 624 上人 夫木
物思ふ心のたけぞ知られぬる夜な夜な月を眺めあかして
160 恋 1298 万代 夫木
もの思ふ袖に嘆のたけ見えてしのぶしらぬは涙なりけり
149 恋 632
もの思ふ袖にも月は宿りけり濁らですめる水ならねども
155 恋 709 万代
もの思ふ涙ややがてみつせ河人をしづむる淵となるらむ
松屋本山家集
物思ふ涙を玉にみがきかへて衣の袖に懸けて包まん
64 秋 新潮欠 458a
物思ふねざめとぶらふきりぎりす人よりもけに露けかるらむ
152 恋 671 上人 心中 御裳濯河 千載
物思へどかからぬ人もあるものをあはれなりける身のちぎりか
151 恋 663 上人 心中 新千載
もの思へば袖にながるる涙川いかなるみをに逢ふ瀬ありなむ
152 恋 676
もの思へばちぢに心ぞくだけぬるしのだの森の枝ならねども
173 雑 1010 上人 心中
もののふのならすすさびはおびただしあけとのしさりかもの入くび
「新潮」
もののふの馴らすすさみは面立たしあちその退り鴨の入首
92 冬 483
もみぢちる野原を分けて行く人は花ならぬまで錦きるべし
88 秋 479
もみぢ葉の散らで時雨の日数へばいかばかりなる色かあらまし
29 春 1074 夫木
紅葉みし高野の峯の花ざかりたのめし人の待たるるやなぞ
194 雑 797 上人 心中 物語
紅葉見て君がたもとやしぐるらむ昔の秋の色をしたひて
92 冬 504 上人追加 夫木
紅葉よるあじろの布の色染めてひをくるるとは見ゆるなりけり
167 雑 1400
桃ぞのの花にまがへるてりうそのむれ立つ折はちるここちする
145 恋 592 上人 心中
もらさじと袖にあまるをつつまましなさけをしのぶ涙なりせば
277 補 御裳濯河
もらさでや心の底をくまれまし袖にせかるるなみだなりせば
173 雑 1014
もろ声にもりかきみかぞ聞ゆなるいひ合せてやつまをこふらむ
139 羇 1217 (寂然法師歌)
もろともに秋も山路も深ければしかぞかなしき大原の里
81 秋 369
もろともに影を並ぶる人もあれや月のもりくるささのいほりに
117 羇415
諸ともに旅なる空に月も出でてすめばやかげの哀なるらむ
179 雑 929 (寂超長門入道歌)
もろともに散る言の葉をかく程にやがても袖のそぼちぬるかな
「岩波」
木のもとに散る言の葉をかく程にやがても袖のそぼちぬるかな
201 哀 778 上人 心中 千載
もろともにながめながめて秋の月ひとりにならむことぞ悲しき
36 春 118 上人 心中 夫木
もろともに我をも具してちりね花うき世をいとふ心ある身ぞ
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180 雑 1351 (院少納言の局歌)
卷ごとに玉の声せし玉章のたぐひは又もありけるものを
139 羇 1215 (寂然法師歌)
ますらをが爪(つま)木に通草(あけび)さしそへて暮るれば帰る大原の里
210 哀 834 (寂然法師歌)
待ちわびぬおくれさきだつ哀をも君ならでさは誰かとふべき
183 雑 1236 (讃岐の院の女房歌)
松山の涙は海に深くなりてはちすの池に入れよとぞ思ふ
206 哀 805 上人 心中 千載 月詣 寂然集 (寂然法師歌)
乱れずと終り聞くこそ嬉しけれさても別はなぐさまねども
184 雑 1136 (讃岐の院の女房歌)
水茎のかき流すべきかたぞなき心のうちは汲みて知らなむ
139 羇 1212 上人追加 夫木 (寂然法師歌)
水の音は枕に落つるここちしてねざめがちなる大原の里
139 羇 1216 玄玉 夫木 (寂然法師歌)
むぐらはふ門は木の葉に埋もれて人もさしこぬ大原の里
182 雑 1235 (讃岐の院の女房歌)
目のまへにかはりはてにし世のうきに涙を君もながしけるかな
183 雑 1163 上人 心中 夫木 (崇徳院歌)
最上川つなでひくともいな舟のしばしがほどはいかりおろさむ
139 羇 1217 (寂然法師歌)
もろともに秋も山路も深ければしかぞかなしき大原の里
64 秋 新潮欠 458a
物思ふねざめとぶらふきりぎりす人よりもけに露けかるらむ
73 秋 ○ 上人追加(西行歌ではないとみられています)
松島や雄島の磯も何ならずただきさがたの秋の夜の月
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