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山家集索引
あ〜お | か〜こ | さ〜そ | た〜と | な〜の | は〜ほ | ま〜も | や〜わ |
「さ」
250 聞194
さえもさえこほるもことに寒からむ氷室の山の冬のけしきは
102 冬 562 夫木
さえ渡る浦風いかに寒からむ千鳥むれゐるゆふさきの浦
124 羇 1223 上人追加 物語
榊葉に心をかけんゆふしでて思へば神も仏なりけり
松屋本山家集
咲かぬまの雨にも花のすすめられてとかれと思ふ春の山里
272 補 上人 心中
さかぬまの花には雲のまがふとも雲とは花の見えずもあらなむ
100 冬 1431
盛ならぬ木もなく花の咲きにけり思へば雪をわくる山道
松屋本山家集
盛りなりし梢の花を庭に見れば袖に涙ぞさらに散りぬる
244 聞134
さかりなるこの山ざくら思ひおきていづち心のまたうかるらむ
松屋本山家集
盛り見る花の梢にほととぎす初声ならすみ山辺の里
250 聞196 夫木
逆艪おす立石崎の白波はあしきしほにもかかりけるかな
126 羇 1383
さぎじまのごいしの白をたか浪のたふしの浜に打寄せてける
58 秋 270
咲きそはん所の野辺にあらばやは萩より外の花も見るべく
34 春 ○ 上人 玄玉
さきそむる花を一枝まづ折りて昔の人のためと思はむ
257 聞229
さきだたばしるべせよとぞ契りしにおくれて思ふあとのあはれさ
34 春 ○ 上人
さきやらぬものゆゑかねて物ぞ思ふ花に心の絶えぬならひに
31 春 75
櫻さくよもの山辺をかぬる間にのどかに花をみぬ心地する
48 夏 202 夫木
櫻ちるやどにかさなるあやめをば花あやめとやいふべかるらむ
209 哀 827
櫻花ちりぢりになるこのもとに名残を惜しむ鶯のこゑ
213 哀 1514
ささがにの糸に貫く露の玉をかけてかざれる世にこそありけれ
172 雑 1552
ささがにのいと世をかくて過ぎにけり人の人なる手にもかからで
57 夏 263
ささがにのくもでにかけて引く糸やけふ棚機にかささぎの橋
123 羇 1116 上人追加 物語(広)
笹ふかみきりこすくきを朝立ちてなびきわづらふありのとわたり
174 雑 855 上人追加 新古今 物語(広)
さし入らで雲路をよきし月影はまたぬ心や空に見えけむ
70 秋 1153
さしきつる窓の入日をあらためて光をかふる夕月夜かな
258 聞234 (西住上人歌)
さぞな君こころの月をみがくにはかつがつ四方にゆきぞしきける
116 羇 1376
さだえすむ迫門の岩つぼもとめ出ていそぎし海人の気色なるかな
81 秋 363 上人 心中
さだめなくとりや鳴くらむ秋の夜は月の光を思ひまがへて
106 離 1092
さだめなしいくとせ君になれなれて別をけふは思ふなるらむ
200 哀 924
定めなし風わづらはぬ折だにも又こんことを頼むべきよに
松屋本山家集
さてもあらじ今見よ心思とりて我身は身かと我もうかれむ
213 哀 ○ 上人
さてもこはいかがはすべき世の中にあるにもあらずなきにしもなし
44 夏 181 上人 心中 玉葉 万代
里なるるたそがれどきの郭公きかずがほにて又なのらせむ
236 聞72
里にくむふるかはかみのかげになりて柳のえだも水むすびけり
222 神 1008 上人 心中 夫木
里人の大ぬさ小ぬさ立てなめてむなかた結ぶ野辺になりけり
219 釈 889
さとりえし心の月のあらはれて鷲の高嶺にすむにぞありける
281 補 長秋詠藻 御裳濯河
さとり得て心の花しひらけなばたづねぬさきに色ぞそむべき
221 釈 1536
悟ひろき此法をまづ説き置きて二つなしとは云ひきはめける
110 羇 1408
さのみやは袂に影を宿すべきよわし心に月な眺めそ
154 恋 701
さはといひて衣かへしてうちふせどめのあはばやは夢もみるべき
171 雑 1543
澤の面にふせたるたづの一声におどろかされてちどり鳴くなり
142 賀 1174 御裳濯河
澤べより巣立ちはじむる鶴の子は松の枝にやうつりそむらむ
18 春 1434
澤もとけずつめど籠(かたみ)にとどまらでめにもたまらぬゑぐの草ぐき
250 聞191 夫木
澤水にほたるのかげのかずぞそふ我がたましひやゆきて具すらむ
103 冬 513 上人 新古今 物語
さびしさに堪へたる人の又もあれないほりならべん冬の山ざと
95 冬 ○ 上人 雲葉
さびしさは秋見し空にかはりけり枯野をてらす有明の月
200 哀 927
さまざまに哀おほかる別かな心を君がやどにとどめて
152 恋 675 上人 心中
さまざまに思ひみだるる心をば君がもとにぞつかねあつむる
246 聞152
さまざまにかをれる花のちる庭にめづらしくまたならぶ袖かな
229 聞23 夫木
さまざまに木曽のかけ路をつたひ入りて奧を知りつつ帰る山人
松屋本山家集
さまざまに染めつつ着けるきぬの色をやがて悟りにかへりつる
221 釈 1541
さまざまにたな心なる誓をばなもの言葉にふさねたるかな
88 秋 477 上人 心中
さまざまに錦ありけるみ山かな花見し嶺を時雨そめつつ
93 冬 506
さまざまに花咲きたりと見し野辺の同じ色にも霜がれにけり
172 雑 1547
さまざまのあはれありつる山里を人につたへて秋の暮れける
55 秋 254 上人 心中
さまざまのあはれをこめて梢ふく風に秋しるみ山べのさと
165 恋 1495
さまざまの嘆を身にはつみ置きていつしめるべき思ひなるらむ
250 聞189
さみだれて沼田のあぜにせしかきは水もせかれぬしがらみの柴
49 夏 213 上人追加 夫木
五月雨に小田のさ苗やいかならむあぜのうき土あらひこされて
50 夏 223 夫木
さみだれに佐野の舟橋うきぬればのりてぞ人はさしわたるらむ
49 夏 215
さみだれにほすひまなくてもしほぐさ烟もたてぬ浦の海士人
49 夏 208 上人 上人追加 心中 夫木
五月雨に水まさるらし宇治橋やくもでにかかる波のしら糸
237 聞85
さみだれの雲かさなれる空はれて山ほととぎす月になくなり
48 夏 新潮欠
五月雨の軒の雫に玉かけて宿をかざれるあやめぐさかな
49 夏 214
さみだれの頃にしなれば荒小田に人にまかせぬ水たたひけり
50 夏 224
五月雨の晴れぬ日数のふるままに沼の真菰はみがくれにけり
46 夏 1468
さみだれの晴間尋ねて郭公雲井につたふ声聞ゆなり
44 夏 198 上人 心中 御裳濯河 御裳濯
五月雨の晴間もみえぬ雲路より山時鳥なきて過ぐなり
50 夏 222 夫木
五月雨のをやむ晴間のなからめや水のかさほせまこもかり舟
49 夏 新潮欠
五月雨はいささ小川の橋もなしいづくともなくみをに流れて
岩波欠 夏 209
五月雨はいはせく沼の水深みわけし石間の通ひどもなし
273 補 雲葉 夫木
さみだれは原野の澤に水みちていづく三河のぬまの八つ橋
50 夏 227 上人追加 夫木
さみだれは山田のあぜの瀧枕かずをかさねておつるなりけり
50 夏 226 上人追加 夫木
五月雨は行くべき道のあてもなしを笹が原もうきに流れて
163 恋 1343
さもこそは人め思はずなりはてめあなさまにくの袖のけしきや
71 秋 332 上人 心中
さやかなる影にてしるし秋の月十夜(とよ)にあまれる五日なりけり
125 羇 ○ 御裳濯河 新古今 玄玉 物語
さやかなる鷲の高嶺の雲井より影やはらぐる月よみの森
96 冬 522
冴ゆと見えて冬深くなる月影は水なき庭に氷をぞ敷く
102 冬 560
さゆる夜はよその空にぞをしも鳴くこほりにけりなこやの池水
94 冬 551 上人 心中
さゆれども心やすくぞ聞きあかす河瀬のちどり友ぐしてけり
86 秋 443 上人追加 夫木
さよ衣いづこの里にうつならむ遠くきこゆるつちの音かな
270 残31
さ夜ふけて月にかはづの声きけばみぎはもすずし池のうきくさ
25 春 988 上人 心中
さらにまた霞にくるる山路かな花をたづぬる春のあけぼの
270 残32 夫木
さらにまたそり橋わたす心地してをぶさかかれるかつらぎの嶺
155 恋 ○ 上人 心中
さらに又むすぼほれ行く心かなとけなばとこそ思ひしかども
213 哀 1516
さらぬこともあと方なきをわきてなど露をあだにもいひも置きけむ
69 秋 432
さらぬだに秋は物のみかなしきを涙もよほすさをしかの声
77 秋 404
さらぬだにうかれて物を思ふ身の心をさそふ秋の夜の月
144 恋 586
さらぬだに帰りやられぬしののめにそへてかたらふ時鳥かな
66 秋 475
さらぬだに声よわりにし松虫の秋のすゑには聞きもわかれず
160 恋 1304
さらぬだにもとの思ひの絶えぬ間に嘆を人のそふるなりけり
192 雑 756 上人追加 夫木 物語(広)
さらぬだに世のはかなきを思ふ身にぬえ鳴き渡る明ぼのの空
144 恋 591
さらばたださらでぞ人のやみなましさて後もさはさもあらじとや
106 離 1142 上人 新古今 物語(広)
さりともと猶あふことを頼むかな死出の山路をこえぬ別は
254 聞221
さりともなあかつきごとのあはれみに深き闇をも出でざらめやは
157 恋 1256 夫木
さりとよとほのかに人を見つれども覚めぬは夢の心地こそすれ
153 恋 684 夫木
さることのあるなりけりと思ひ出でて忍ぶ心を忍べとぞ思ふ
163 恋 1340 夫木
さることのあるべきかはとしのばれて心いつまでみさをなるらむ
157 恋 1259
さるほどの契はなににありながらゆかぬ心のくるしきやなぞ
258 聞238
さればよとみるみる人のおちぞ入るおほくの穴の世にはありける
「し」
61 秋 1160 上人 続詞花 物語(広)
鹿の立つ野辺の錦のきりはしは残り多かる心地こそすれ
60 秋 1159 上人 続詞花 物語(広)(忍西入道「静忍法師か?」歌)
鹿の音や心ならねばとまるらんさらでは野辺をみな見するかな
62 秋 302 上人 心中 玉葉 夫木
鹿の音をかき根にこめて聞くのみか月もすみけり秋の山里
68 秋 441 新後撰 夫木
鹿の音を聞くにつけても住む人の心しらるる小野の山里
69 秋 434
しかもわぶ空のけしきもしぐるめり悲しかれともなれる秋かな
100 冬 1483
しがらきの杣のおほぢはとどめてよ初雪降りぬむこの山人
183 雑 1229 物語(広)(寂然法師歌)
しきしまや絶えぬる道になくなくも君とのみこそあとを忍ばめ
112 羇 1367 上人 心中 夫木
しきみおくあかのをしきにふちなくば何に霰の玉とまらまし
110 羇 1404
しきわたす月の氷をうたがひてひゞのてまはる味のむら鳥
91 冬 496 上人 心中 続後撰
時雨かとねざめの床にきこゆるは嵐に堪へぬ木の葉なりけり
189 雑 1031 上人 宮河
時雨かは山めぐりする心かないつまでとのみうちしをれつつ
88 秋 1440 上人追加 夫木
しぐれそむる花ぞの山に秋くれて錦の色もあらたむるかな
190 雑 796 上人 心中 御裳濯河 新古今 玄玉 物語(広)
しげき野をいく一むらに分けなして更にむかしをしのびかへさむ
61 秋 273
しげり行く芝の下草おはれ出て招くや誰をしたふなるらむ
78 秋 314 上人追加 物語(広)
したはるる心や行くと山の端にしばしな入りそ秋の夜の月
70 秋 1056
したはれし名残をこそはながめつれ立ち帰りにし嶺の朝ぎり
141 羇 1125 (大宮の女房加賀歌)
したふ秋は露もとまらぬ都へとなどて急ぎし舟出なるらむ
68 秋 429
しだり咲く萩のふる枝に風かけてすがひすがひにを鹿なくなり
146 恋 594 夫木
賤のめがすすくる糸にゆづりおきて思ふにたがふ恋もするかな
255 聞226
しづむなる死出の山がはみなぎりて馬筏もやかなはざるらむ
255 聞225
死出の山越ゆるたえまはあらじかしなくなる人のかずつづきつつ
161 恋 1318
死なばやと何思ふらむ後の世も恋はよにうきこととこそきけ
212 哀 850
しにてふさむ苔の莚を思ふよりかねてしらるる岩かげの露
248 聞169 夫木
篠ためて雀弓はる男のわらはひたひ烏帽子のほしげなるかな
274 補 宮河 夫木
しのにをるあたりもすずし河やしろ榊にかかる波のしらゆふ
68 秋 438 上人 心中
篠原や霧にまがひて鳴く鹿の声かすかなる秋の夕ぐれ
97 冬 ○ ▲
しの原や三上の嶽を見渡せば一夜の程に雪は降りけり
261 聞256 ▲ 上人追加 夫木
篠むらや三上が嶽をみわたせばひとよのほどに雪のつもれる
149 恋 631
忍びねのなみだたたふる袖のうらになづまず宿る秋の夜の月
103 冬 965
柴かこふいほりのうちは旅だちてすとほる風もとまらざりけり
151 恋 662 上人追加
しばしこそ人めづつみにせかれけれはては涙やなる瀧の川
165 雑 725 夫木
柴の庵ときくはいやしき名なれども世に好もしきすまひなりけり
21 春 40
柴の庵によるよる梅の匂い来てやさしき方もあるすまひかな
109 羇 1098 上人追加 玉葉
柴の庵のしばし都へかへらじと思はむだにもあはれなるべし
82 秋 950 上人 心中
柴の庵はすみうきこともあらましをともなふ月の影なかりせば
168 雑 999 上人 心中
塩風にいせの浜荻ふせばまづ穗ずゑに波のあらたむるかな
171 雑 1194 上人追加 夫木
しほそむるますをのこ貝ひろふとて色の浜とはいふにやあるらむ
168 雑 1003
汐路行くかこみのともろ心せよまたうづ早きせと渡るなり
178 雑 744 上人 心中 物語(広) (堀川局歌)
しほなれし苫屋もあれてうき波に寄るかたもなきあまと知らずや
233 聞46 夫木
注連かけてたてたるやどの松に来て春の戸あくるうぐひすの声
66 秋 493 上人 心中 宮河 御裳濯
霜うずむ葎が下のきりぎりすあるかなきかに声きこゆなり
93 冬 508
霜かづく枯野の草は寂しきにいづくは人の心とむらむ
93 冬 509 上人追加 夫木
霜がれてもろくくだくる荻の葉を荒らく吹くなる風の色かな
95 冬 550
霜さえて汀ふけ行く浦風を思ひしりげに鳴く千鳥かな
96 冬 521 上人 心中 御裳濯河 千載
霜さゆる庭の木葉をふみ分けて月は見るやと訪ふ人もがな
93 冬 514 上人 心中
霜にあひて色あらたむる蘆の穗の寂しくみゆる難波江の浦
30 春 69 上人 心中
白河の梢を見てぞなぐさむる吉野の山にかよふ心を
129 羇 1126 上人 心中 新拾遺 後葉 物語
白川の関屋を月のもる影は人のこころをとむるなりけり
272 補 上人
白河の関路の櫻さきにけりあづまより来る人のまれなる
31 春 70 夫木
白河の春の梢のうぐひすは花の言葉を聞くここちする
67 秋 422 上人 心中 宮河 新古今 御裳濯 物語
白雲を翅にかけて行く雁の門田のおもの友したふなり
148 恋 617 上人 心中 御裳濯河 千載 物語(広)
しらざりき雲井のよそに見し月の影を袂に宿すべしとは
163 恋 1334
知らざりき身にあまりたる嘆して隙なく袖をしぼるべしとは
149 恋 630
白妙の衣かさぬる月影のさゆる真袖にかかるしら露
松屋本山家集
白玉を包み集むるわが袖を朽ちなんときや散らんとすらん
198 雑 1394 夫木
しらなはにこあゆひかれて下る瀬にもちまうけたるこめのしき網
232 聞41
知られけり罪を心のつくるにて思ひかへさばさとるべしとは
252 聞215
知れよ心思はれねばとおもふべきことはことにてあるべきものを
140 羇 1121 上人 御裳濯河 新古今 物語
しをりせで猶山深く分け入らむうきこと聞かぬ所ありやと
「す」
126 羇 1382
すが島やたふしの小石(こいし)わけかへて黒白まぜよ浦の浜風
160 恋 1294
菅の根のながく物をば思はじと手向し神に祈りしものを
56 秋 1013 夫木
すがるふすこぐれが下の葛まきを吹きうらがへす秋の初風
22 春 994 上人 心中
すぎて行く羽風なつかし鶯のなづさひけりな梅の立枝を
81 秋 372
過ぎやらで月ちかく行く浮雲のただよふ見ればわびしかりけり
41 春 170
過ぐる春潮のみつより船出して波の花をやさきにたつらむ
255 聞223
すさみすさみ南無ととなへしちぎりこそ奈落が底の苦にかはりけれ
124 羇 728 上人 新古今 物語(広)
鈴鹿山うき世をよそにふりすてていかになり行く我身なるらむ
32 春 85
すそ野やく烟ぞ春は吉野山花をへだつるかすみなりける
127 羇 1389 夫木
すたか渡るいらごが崎をうたがひてなほきにかくる山帰りかな
84 秋 ○ 上人 宮河 新古今 玄玉 物語(広)
すつとならばうき世を厭ふしるしあらむ我には曇れ秋の夜の月
232 聞43
捨てがたき思ひなれども捨てていでむまことの道ぞまことなるべき
192 雑 1418
捨てし折の心をさらにあらためてみるよの人にわかれ果てなむ
192 雑 1416
捨てたれどかくれてすまぬ人になれば猶よにあるに似たるなりけり
77 秋 405 上人 玉葉
捨てていにし憂世に月のすまであれなさらば心のとまらざらまし
191 雑 1508
捨てて後はまぎれしかたは覚えぬを心のみをば世にあらせける
180 雑 769 夫木
すてやらで命をおふる人はみな千々のこがねをもてかへるなり
139 羇 1210 (寂然法師歌)
炭がまのたなびくけぶりひとすぢに心ぼそきは大原の里
174 雑 801
すみ捨てしその古郷をあらためて昔にかへる心地もやする
246 聞149
すみなれしおぼろの清水せく塵をかきながすにぞすゑはひきける
223 神 1054 上人 心中 続拾遺 物語(広)
住よしの松が根あらふ浪のおとを梢にかくる沖つしら波
40 春 1015 上人追加 夫木
菫さくよこ野のつばな生ひぬれば思ひ思ひに人かよふなり
139 羇 913
住むことは所がらぞといひながらかうやは物のあはれなるべき
176 雑 733 上人 心中 新後撰 物語
すむとみし心の月しあらはれば此世も闇は晴れざらめやは
193 雑 1043 上人 心中
すむ人の心くまるる泉かな昔をいかに思ひいづらむ
221 釈 1535
末の世の人の心をみがくべき玉をも塵にまぜてけるかな
187 雑 ○ 新古今
末の世もこの情のみかはらずと見し夢なくばよそに聞かまし
59 秋 265 上人 心中
末は吹く風は野もせにわたるともあらくは分けじ萩の下露
「せ」
161 恋 1311
せきかねてさはとて流す瀧つせにわく白玉は涙なりけり
154 恋 694 夫木
せと口に立てるうしほの大淀みよどむとしひもなき涙かな
96 冬 544 上人 心中
せと渡るたななし小舟心せよ霰みだるるしまきよこぎる
276 補 上人
瀬にたたむ岩のしがらみ波かけてにしきをながす山がはの水
118 羇 1426
瀬をはやみ宮瀧川を渡り行けば心の底のすむ心地する
「そ」
250 聞195 上人追加 夫木
底すみて波こまかなるさざれ水わたりやられぬ山がはのかげ
158 恋 1272 上人 続古今
袖の上の人めしられし折まではみさをなりける我が涙かな
松屋本山家集
その門に出でての後ぞ知られける根を離れたる草木やはある
193 雑 1429
そのすぢに入りなば心なにしかも人目おもひて世につつむらむ
182 雑 1234
その日より落つる涙をかたみにて思ひ忘るる時の間ぞなき
66 秋 775 上人 心中 物語
その折の蓬がもとの枕にもかくこそ虫の音にはむつれめ
233 聞44
そのをりは宝の君もよしなきをたもつといひしことの葉ばかり
166 雑 新潮欠 夫木
杣くたすまくにがおくの河上にたつきうつべしこけさ浪よる
50 夏 232
杣人の暮にやどかる心地していほりをたたく水鷄なりけり
96 冬 545 上人追加 夫木
杣人のまきのかり屋の下ぶしに音するものは霰なりけり
松屋本山家集
染め草をさのみはいかが持たるべきげにと覚ゆる袖の上かな
88 秋 474 上人 心中
染めてけりもみぢの色のくれなゐをしぐると見えしみ山べの里
67 秋 424
空色のこなたをうらに立つ霧のおもてに雁のかくる玉章
30 春 60
空に出でていづくともなく尋ぬれば雪とは花の見ゆるなりけり
19 春 723 物語
そらになる心は春の霞にてよにあらじとも思ひたつかな
25 春 987 上人 心中 万代
空晴るる雲なりけりな吉野山花もてわたる風と見たれば
48 夏 201 夫木
空晴れて沼のみかさをおとさずばあやめもふかぬ五月なるべし
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258 聞234 (西住上人歌)
さぞな君こころの月をみがくにはかつがつ四方にゆきぞしきける
60 秋 1159 上人 続詞花 物語(広)(忍西入道「静忍法師か?」歌)
鹿の音や心ならねばとまるらんさらでは野辺をみな見するかな
183 雑 1229 物語(広)(寂然法師歌)
しきしまや絶えぬる道になくなくも君とのみこそあとを忍ばめ
141 羇 1125 (大宮の女房加賀歌)
したふ秋は露もとまらぬ都へとなどて急ぎし舟出なるらむ
178 雑 744 上人 心中 物語(広) (堀川局歌)
しほなれし苫屋もあれてうき波に寄るかたもなきあまと知らずや
139 羇 1210 (寂然法師歌)
炭がまのたなびくけぶりひとすぢに心ぼそきは大原の里
48 夏 新潮欠 206a
五月雨の軒の雫に玉かけて宿をかざれるあやめぐさかな
49 夏 新潮欠 215a
五月雨はいささ小川の橋もなしいづくともなくみをに流れて
166 雑 新潮欠 974a 夫木
杣くたすまくにがおくの河上にたつきうつべしこけさ浪よる
岩波欠 夏 209
五月雨はいはせく沼の水深みわけし石間の通ひどもなし
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