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西行の京師
メールマガジンとして2002年4月15日から2004年10月25日
にわたって発行したものです。番号は号数です。
01 いつか又めぐり逢ふべき法の輪の嵐の山を君しいでなば など
02 大井川をぐらの山の子規ゐせぎに聲のとまらましかば など
03 つつめども人しる戀や大井川ゐせぎのひまをくぐる白波 など
04 よもすがら嵐の山は風さえて大井のよぞに氷をぞしく など
05 萬代のためしにひかむ龜山の裾野の原にしげる小松を など
06 をじか鳴く小倉の山の裾ちかみただひとりすむ我が心かな など
07 わがものと秋の梢を思ふかな小倉の里に家居せしより など
08 をぐら山ふもとをこむる秋霧にたちもらさるるさを鹿の聲 など
09 誰とてもとまるべきかはあだし野の草の葉ごとにすがる白露 など
10 君すまぬ御うちは荒れてありす川いむ姿をもうつしつるかな など
11 廣澤のみぎはにさけるかきつばたいく昔をかへだて來つらむ など
12 ときは山しひの下柴かり捨てむかくれて思ふかひのなきかと など
13 しばしこそ人めづつみにせかれけれはては涙やなる瀧の川 など
14 なにとなくものがなしくぞ見え渡る鳥羽田の面の秋の夕暮 など
15 鶉なく折にしなれば霧こめてあはれさびしき深草の里 など
16 まさきわる飛騨のたくみや出でぬらむ村雨すぎぬかさどりの山 など
17 宇治川の早瀬おちまふれふ船のかづきにちかふこひのむらまけ など
18 五月雨に水まさるらし宇治橋やくもでにかかる波のしら糸 など
19 山吹の花咲く井手の里こそはやしうゐたりと思はざらなむ など
20 山城のみづのみくさにつながれてこまものうげに見ゆるたびかな など
21 わきて今日あふさか山の霞めるは立ちおくれたる春や越ゆらむ など
22 春たつと思ひもあへぬ朝とでにいつしか霞む音羽山かな など
23 かぎりなく悲しかりけりとりべ山なきを送りて歸る心は など
24 なき跡を誰としらねど鳥部山おのおのすごき塚の夕ぐれ など
25 行末の名にや流れむ常よりも月すみわたる白川の水 など
26 白河の梢をみてぞなぐさむる吉野の山にかよふ心を など
27 風あらみこずゑの花のながれきて庭に波立つしら川の里 など
28 波もなく風ををさめし白川の君のをりもや花は散りけむ など
29 白河の春の梢のうぐひすは花の言葉を聞くここちする など
30 月のすむみおやがはらに霜さえて千鳥とほたつ聲きこゆなり など
31 みたらしの流はいつもかはらぬを末にしなればあさましの世や など
32 みたらしにわかなすすぎて宮人のま手にささげてみと開くめる など
33 紫の色なきころの野邊なれやかたまほりにてかけぬ葵は など
34 これや聞く雲の林の寺ならむ花をたずぬるこころやすめむ など
35 船岡のすそ野の塚の數そへて昔の人に君をなしつる など
36 若菜さす平野の松はさらにまた枝にや千代の數をそふらむ など
37 つばなぬく北野の茅原あせ行けば心ずみれぞ生ひかはりける など
38 ふりつみし高嶺のみ雪とけにけり清瀧川の水のしらなみ など
39 さえもさえこほるもことに寒からむ氷室の山の冬のけしきは など
40 山がつの住みぬと見ゆるわたりかな冬にあせ行くしづはらの里 など
41 詞書 五條三位入道の大宮の家・覺雅僧都の六條の坊 など
42 詞書 法金剛院の紅葉 など
43 詞書 菩提院の前斎宮・仁和寺 など
44 詞書 仁和寺の宮・仁和寺の奥なるところ など
45 詞書 仁和寺の御室・仁和寺の北院・二條院 など
46 ちりそむる花の初雪ふりぬればふみ分けまうき志賀の山越 北白川歌 など
47 春風の花のふぶきにうづもれて行きもやられぬ志賀の山道 北白川歌 など
48 こ笹しく古里小野の道のあとを又さはになす五月雨のころ など
49 宿ごとにさびしからじとはげむべし煙こめたる小野の山里 など
50 小野山のうへより落つる瀧の名のおとなしにのみぬるる袖かな など
51 すみなれしおぼろの清水せく塵をかきながすにぞすゑはひきける など
52 大原やまだすみがまもならはずといひけむ人を今あらせばや など
53 大原は比良の高嶺の近ければ雪ふるほどを思ひこそやれ など
54 晴れやらで二むら山に立つ雲は比良のふぶきの名残なりけれ など
55 錦をばいくのへこゆるからびつに収めて秋は行くにかあるらむ など